2020 Fiscal Year Annual Research Report
Structural biology studies of autophagy-related protein Atg9
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18K06097
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Research Institution | Microbial Chemistry Research Foundation |
Principal Investigator |
的場 一晃 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 研究員 (60613792)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | オートファジー / クライオ電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
オートファジーは細胞内分解システムの一つで、新規に形成される二重膜(隔離膜)が分解対象を包み込むことで隔離し、内膜ごと分解する。酵母を用いた遺伝学的な解析から約20種類の主要なAutophagy-related gene (Atg)が隔離膜の形成に関与することが知られている。本研究ではオートファジーに必須なタンパク質のうち、6回膜貫通型タンパク質Atg9の構造生物学的解析を行うことで、Atg9の分子機能を明らかにすることを目的とした。 研究期間中に、機能がこれまで分かっていなかった膜たんぱく質Atg9が、脂質スクランブル活性を持つことを試験管内の実験で明らかにしました。さらにAtg9の立体構造をクライオ電子顕微鏡で調べた結果、Atg9は4回膜貫通型膜たんぱく質であり、脂質二重層の2つの層をつなぐ細孔を持つことが分かりました。また、細孔を形成するアミノ酸に変異を入れたところ試験管内でのAtg9の脂質スクランブル活性が失われ、同じ変異により酵母におけるオートファゴソームの形成も阻害されることを見いだしました。これらのことから、Atg9は新規脂質スクランブラーゼであり、脂質輸送たんぱく質Atg2と協力してオートファゴソームの形成に働くという全く新しい仕組みを明らかにしました。これはオートファジー分野のみならず、細胞生物学全般において初めて明らかとなった現象であり、細胞生物学の基礎研究に貢献する成果です。この研究によりオートファジー膜形成過程の分子機構の全容解明が加速されることが期待されます。
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Research Products
(5 results)