2021 Fiscal Year Annual Research Report
Vesicular neurotransmitter transporters interact with lipid
Project/Area Number |
18K06114
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
樹下 成信 岡山大学, 自然生命科学研究支援センター, 助教 (60646917)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | VGLUT / 脂質制御 / オリゴマー |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで申請者は小胞型グルタミン酸トランスポーター(VGLUT)の研究を行なっている。このトランスポーターは神経伝達に関わるシナプス小胞という内膜器官に存在している。これまでほとんど研究が進んでいなかったが、我々の研究により、その分子輸送メカニズムがわかってきた。 VGLUTは膜電位を駆動力とした二次生の能動輸送体で、グルタミン酸を基質として輸送している。これまで生体試料等を用いたグルタミン酸の輸送にはCl-が重要であることがわかっていたが、輸送なのか、結合なのかについては、研究者間で意見が分かれている状態である。 私は、これまでVGLUTを用いた研究として、精製タンパク質を用いた、構造生物学的アプローチから、研究を行なっている。その中で、VGLUTは精製段階でオリゴマー化している知見を得ている。また、これまでの研究により、Cl-の制御は正の協同性を示すことがわかっていることから、Cl-制御とオリゴマー化は密接に関与しているのではないかと考えている。ただ、これまでの研究により、オリゴマー化は間違いないが、何量体として機能しているのかなど、未だに、不明な点は多い。 2020年に報告されたSicenceの論文においてもモノマーとして構造が示された。 今回我々は脂質の添加に伴いオリゴマー化することを明らかにすることができた。さらに特定脂質により活性制御もしていることを明らかにした。生体脂質は大きく分けてグリセロリン脂質とスフィンゴ脂質に大きく大別されるが、その両方がVGLUTの制御に関わっていた。今回の新たな発見は今後VGLUTのオリゴマー状態での構造解析を行う上でも非常に有益な情報となるだけでなく、他の小胞型神経伝達物質トランスポーターについても同様の機構が備わっている可能性が考えられる。本年度はこれらの解析について論文化に向けた詰めの実験を行なった。
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