2019 Fiscal Year Research-status Report
分子認識反応における、R-Rasに特徴的なN末およびC末領域の役割
Project/Area Number |
18K06123
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
梅木 伸久 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 研究員 (70647502)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 細胞内情報伝達 / 低分子量Gタンパク質 / 1分子計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
低分子量Gタンパク質Rasは、細胞外からの刺激に応じて、いくつかの標的タンパク質を時空間的に適切に選択し下流へと情報を伝達する。しかしその経路選択のメカニズムは未だ定かでない。そこで本研究では、Raf kinaseの活性化反応におけるRasのC末領域の役割について明らかにする。これまで本研究において、RasのC末領域がRafの閉じた構造(不活性型)から開いた構造(活性型)への変換に重要であることを示してきた。またRasのC末領域は、Rafとの結合能自体には影響を与えていないことも示唆された。 Rafの活性化反応において、Rasの二量体構造が必要であるとの報告がいくつかなされているので、令和元年度は、RasのC末領域がRasの二量体構造に与える影響について調べた。RasのN末領域に、GFP(ここでは単量体になる変異を入れたGFP)またはHalo(テトラメチルローダミンで染色した)タグを融合させ、それらをHeLa細胞内で発現させた。そして分子間によるFRETを計測し、Rasの二量体構造の有無を検証した。分子間 FRET計測では、FRET値がプローブの発現量に大きく依存することから、計測された FRET値をRasの発現量で規格化した。その結果、RasのC末領域はRasの二量体構造に影響を与えない事が示唆された。つまりRafの閉じた構造から開いた構造への変換に、RasのC末領域さらにはRasのダイマー構造は、必要で無い可能性が考えられた。今後はRasの細胞膜上における局在化とRafの構造変化との関係性について詳しく解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り進んでいる。次年度はRasの膜上における局在化と、 Rafの構造変化との関係性について詳しく調べていく。
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Strategy for Future Research Activity |
画像取得および取得した画像の解析処理の自動化を推進する。
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Causes of Carryover |
理由)当初の計画では、遺伝子操作用試薬類、培養用試薬類、一般試薬類、プラスチック製品類の予算が必要であった。また細胞内のRas-Ras間におけるFRET計測のために、蛍光試薬類および光学部品の予算が必要であった。しかし、研究室の他の予算で他の目的の為に購入したものを、本研究にも使用する事が出来たことから、結果的に余剰金が発生した。 使用計画)引き続き、蛍光試薬・光学部品などの高額な消耗品費に充当する。また1分子蛍光観察した画像を解析する為のソフトウエア・解析機器等を新たに購 入し研究を加速させる。
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Research Products
(1 results)