2020 Fiscal Year Research-status Report
分子認識反応における、R-Rasに特徴的なN末およびC末領域の役割
Project/Area Number |
18K06123
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
梅木 伸久 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 研究員 (70647502)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 細胞内情報伝達 / 低分子量Gタンパク質 / 細胞増殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、RaF キナーゼの活性化反応におけるRasのC末領域の役割について明らかにする事を目的としている。RasのC末領域は、RaFの閉じた構造(不活性型)から開いた構造(活性型)への変換に重要な役割をはたすと昨年度の研究報告書内で述べた。しかし本年度これを再検証したところ、RaF FRET プローブの発現量依存性によるアーティファクトの結果であることが判明した。したがって、RaFの閉じた構造から開いた構造への変換に、RasのC末領域は関与しない事が考えられた。この結果は先行研究の結果(Terai et al., 2005)と矛盾しない。H-RasのC末領域をR-RasのC末領域と置換したキメラH-Rasは、RaFを活性化しないので、本年度はMEKとRaFとの相互作用およびそれらの膜移行についてさらに詳しく解析することにした。恒常的活性化変異を入れたH-Ras(RasG12V)あるいは同変異をいれたキメラH-Ras (Ras12V-HR)を、GFP-RafとHalo(TMR)-MEKが発現したHeLa細胞内で共発現させた。FCCS計測およびTIRF顕微鏡観察の結果、RasG12V-HRが発現した細胞におけるMEKとRaFとの相互作用、およびそれらの膜移行は、RasG12Vが発現した細胞における相互作用・膜移行と比較して、同程度であることがわかった。次に、Rasのマクロドメイン局在とRaF活性化との関係性を調べるために、RasG12VあるいはRasG12V-HRが発現したHeLa細胞を、コレステロール除去処理またはアクチン脱重合処理した。その上でMEKのリン酸化レベルを解析したところ、これらの処理を施した細胞においてもRasG12V-HRはMEKのリン酸化を誘導しないことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス蔓延による緊急事態宣言等により、当初予定していた実験計画に支障が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
余剰資金を活用し、データ解析の自動化を推進する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、学会がオンライン開催となったため、当初予定していた旅費の支出がなかった。余剰資金は解析自動化のためのソフトウエアを購入するなどして、研究計画を加速させる予定である。
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Research Products
(2 results)