2021 Fiscal Year Research-status Report
分子認識反応における、R-Rasに特徴的なN末およびC末領域の役割
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18K06123
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
梅木 伸久 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 研究員 (70647502)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 低分子量Gタンパク質 / 細胞内情報伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
低分子量Gタンパク質Rasは、細胞外からの刺激に応じていくつかの標的タンパク質を時空間的に適切に選択し、下流へと情報を伝達する。しかしその経路選択のメカニズムは未だ定かでない。令和3年度はRasの活性化因子であるSon of Sevenless-1 (SOS1)とRasの下流タンパク質であるRaf キナーゼを細胞内で共発現させ、成長因子で刺激した際における細胞膜への移行ダイナミクスの同時計測を行った。そして得られたデータから移行情報量(transfer entropy)の計算を行い、SOS-Raf間の情報伝達流を評価した。その結果、EGF刺激直後にSOS→Rafへの情報流が増大することを検知した。野生型SOSが発現した細胞と変異SOS(R1131K: noonan 症候群関連遺伝子変異)が発現した細胞におけるこれらの情報流を比較したところ、野生型SOSが発現した細胞において、Raf→SOSへの情報流がSOS→Rafへの情報流に遅れて起こるのに対し、変異SOSが発現した細胞においてはRaf→SOSヘの情報流は検知されたなかった。このことはおそらく、変異SOSが発現した細胞では、Rafの下流タンパク質からSOSへのnegative-feedbackが遮断されていることを示していると思われる。今後はRasの経路選択のメカニズムを明らかにするために、H-RasのC末領域をR-RasのC末領域とスワップしたキメラH-Rasについて上記と同様の解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス蔓延により、当初予定していた実験計画に支障が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
余剰資金を活用し、データ解析の自動化を推進する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、学会がオンライン開催となったため、当初予定していた旅費の支出がなかった。余剰資金は解析自動化のためのソフトウエアを購入するなどして、研究計画を加速させる予定である。
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Research Products
(3 results)