2022 Fiscal Year Research-status Report
分子認識反応における、R-Rasに特徴的なN末およびC末領域の役割
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18K06123
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
梅木 伸久 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 研究員 (70647502)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度はRas-MAPK経路のシグナル伝達における、細胞のシアリル化と膜上コレステロールの寄与について調べた。HeLa細胞のシアリル化を阻害するために、シアル酸転移酵素阻害剤(STI)で細胞を処理した。そしてシアリル化が阻害されていることを、蛍光レクチンを用いた蛍光顕微観察により確認した。STIで処理した細胞では、EGF刺激に伴うEGFRのリン酸化がコントロールDMSO処理細胞と比較して低下しており、EGFRの結合タンパク質であるGrb2の膜移行も損なわれることがわかった。STI処理した細胞では、ERKのリン酸化の低下は見られなかったが、ERKの細胞膜への移行(核への移行ではなく)が損なわれていることがわかった。興味深いことに、EGFRの発現量に対する膜上の分子数はSTI処理により増加することがわかった。これはEGFRのinternalizationが、STI処理により抑えられることによる可能性が考えられた。 コレステロールを除去したHeLa細胞において、EGF刺激によるEGFRのリン酸化は、STI処理時とは逆に増加することがわかった。しかしERKのリン酸化には影響を与えなかった。来年度は、MAPK経路のシグナル伝達におけるコレステロールとシアリル化の相乗効果について調べていく。またHRas-RRasのキメラタンパク質が発現した細胞における、STIの効果についても調べていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス蔓延により、当初予定していた実験計画に支障が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
余剰資金を活用し、データ解析の自動化を推進する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、予定していたいくつかの学会年会の参加を見送ったため余剰金が発生した。また、他の研究予算で購入した機材を活用したため、購入を見送った物品があったことも余剰資金がでた理由である。これらの余剰資金は、解析自動化のためのソフトウエアを購入して、研究を加速させることに使用する。
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