2019 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of mechanisms of bone formation; primary ciliary formation by protein 4.1G
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18K06125
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
斎藤 将樹 東北大学, 医学系研究科, 助教 (50400271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
助川 淳 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 教授 (30187687)
佐藤 岳哉 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (10312696)
森 優 東北大学, 大学病院, 助教 (70634541)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 骨形成 / 骨芽細胞 / 4.1Gタンパク質 / 副甲状腺ホルモン / アデニル酸シクラーゼ / サイクリックAMP |
Outline of Annual Research Achievements |
骨形成不全症は国の指定難病であり、効果的な治療法が確立されていない。胎児期における骨形成機構を見出すことは、治療法開発にむけた新しいアプローチに繋がる。昨年度に引き続き、骨形成における細胞膜裏打ちタンパク質4.1Gの関与について解析を行った。 副甲状腺ホルモン (PTH) は胎児期から新生児期において、骨芽細胞と破骨細胞の増殖や成熟を促進し骨代謝を高めるため、骨形成に重要であることが知られていた (Miao et al., J. Clin. Invest., 2002)。またPTHは成体においても、間欠投与によって骨形成を促進することから、骨粗鬆症治療薬として2010年に承認されている。PTH受容体は主に三量体Gタンパク質Gsに共役し、アデニル酸シクラーゼを介したサイクリックAMP (cAMP) 産生を司る。今年度、4.1Gが細胞膜でアデニル酸シクラーゼタイプ6 (AC6) に直接結合しその活性を減弱すること、およびそれによってPTH受容体を介したcAMP産生を抑制することを見出した (Saito et al., Mol. Pharmacol., 2019)。 また、昨年度飼育を始めた4.1Gノックアウト (KO) マウスは、今年度は実験に使用できるくらいまで増えて来た。そこで今年度は、骨形成における4.1Gの役割を脛骨を用いて解析を進めた。その結果、新生仔の骨形成は4.1G-KOでは未熟な傾向が見られ、4週令でも同様であった。しかし、10週令では野生型と差がなかった。このことから、4.1Gは胎児期~幼若期における骨形成に関与する可能性が見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PTHの間欠投与が骨形成を制御する分子機構は不明であるが、その一つとして、シグナルが脱感作されず継続的に伝達されることが考えられる。すなわち、PTH受容体シグナルのON-OFF調節機構を解明することは、間欠投与の分子制御機構を理解することに繋がるのみならず、間欠投与の効率を上昇させる新規治療法開発にも繋がる。4.1GがPTH受容体-Gsシグナルを抑制することを見出した今年度の成果は、OFF調節機構の一端を解明したことを意味する。 昨年度、信州大学医学部・寺田教授より4.1G-KOマウスを譲渡して頂いた。昨年度ではまだ十分数のKOマウスが産まれていなかったため、KOマウス由来骨芽前駆細胞や骨組織を用いた実験は今年度の課題となっていた。今年度は解析が進み、骨組織を用いた上述の結果を得ることが出来た。検討すべき週令が不明だったため、新生仔、4週令および10週令を用いて解析を行った結果、新生仔であるとの見当をつけることが出来たことは、今後の進展にむけた大きなステップである。しかし、KOマウス由来骨芽前駆細胞の単離は出来ておらず、次年度の課題である。 全体として、研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
第一として、PTH受容体-Gsシグナルの制御機構について解析を進める。申請者は以前、細胞質ダイニン軽鎖Tctex-1がPTH受容体に直接結合し、その細胞内内在化を促進することを報告した。最近、Tctex-1がアデニル酸シクラーゼ活性を増強し、PTH受容体-Gsシグナルを亢進する可能性を見出している。すなわち、4.1GとTctex-1はPTH受容体-Gsシグナルに対して、反対の役割を担うことが考えられる。そこで次年度は、Tctex-1による制御機構を詳細に解析する。 第二として、4.1G-KOマウスを用いた骨形成に関して、主に新生仔脛骨を用いた解析を進める。まず、骨の石灰化をvon Kossa染色にて検討する。骨芽細胞はアルカリホスファターゼ活性染色、またはオステリックスなどを標的とした蛍光免疫染色法にて検討する。破骨細胞は、TRAP染色にて検討する。マウス骨芽前駆細胞株 (MC3T3-E1細胞) を用いた昨年度の解析により、4.1Gが一次繊毛形成を促進することが示された。骨芽前駆細胞は、一次繊毛由来ヘッジホッグシグナルによって骨芽細胞に分化する。そこで今年度は、4.1G-KOマウス由来新生仔脛骨における一次繊毛形成も検討する。一次繊毛は、Arl13bを用いた蛍光免疫染色法にて検討する。
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Causes of Carryover |
4.1G-KOマウス脛骨を用いた解析において、表現型を見出すために様々な試行錯誤を繰り返すことを当初は考えていたが、予想以上に早い段階で見出すことが出来た。そのため、不要な試薬等を購入する必要性がなくなった。また、3月末に予定していた第93回日本薬理学会年会が、新型コロナウイルス感染拡大の影響で誌上開催となり、出張費がかからなかった。以上の理由より、当初予定額より少額で済んだ。 次年度は、骨形成における4.1Gの役割を検討する実験にかかる物品費に充てる予定である。
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Research Products
(18 results)