2019 Fiscal Year Research-status Report
酵母におけるミトコンドリアオートファジーの制御機構と生理的意義の統合的理解
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18K06129
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
古川 健太郎 新潟大学, 医歯学系, 特任助教 (20754493)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | オートファジー / マイトファジー / 酵母 / Atg32 / Ppg1 / Far複合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリアを選択的に分解するミトコンドリアオートファジー(以下、マイトファジー)は、酵母からヒトまで保存されたミトコンドリアの品質管理機構である。酵母においてマイトファジーが誘導されると、ミトコンドリア外膜タンパク質Atg32がカゼインキナーゼ2(CK2)によってリン酸化され、それに続くAtg32の集積する部位が分解標的として切り離され、最終的に液胞内で分解される。最近、CK2と競合しAtg32の脱リン酸化を介してマイトファジーを抑制するプロテインホスファターゼPpg1とその結合パートナーであるFar複合体(Far3、Far7、Far8、Far9、Far10、Far11)を見出した(Furukawa et al., Cell Rep, 2018)。本研究では、マイトファジー誘導前後におけるPpg1とFar複合体の制御機構を解明することを目的としている。 2018年度までに、Ppg1とFar複合体因子の抗体を作製し、様々なFar複合体変異株をバックグラウンドにPpg1とFar複合体の免疫沈降実験を行い、Ppg1とFar11が直接結合することを見出していた。2019年度は引き続きPpg1とFar複合体の関係性、マイトファジー誘導前後におけるFar複合体の制御について詳細な解析を行った。その結果、(1)Far複合体はミトコンドリアと小胞体の両方に局在するが、Atg32の脱リン酸化にはミトコンドリア局在型のみが関与すること、(2)Ppg1のホスファターゼ活性がFar複合体のアッセンブリーに必須であること、(3)Atg32とFar複合体の結合と解離がマイトファジー制御において重要であることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ppg1とFar複合体の制御機構に関する論文を投稿するに至ったため、おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
Far複合体の各因子を免疫沈降法を用いて精製し、質量分析装置を用いて各因子の修飾(リン酸化など)の有無を決定する。修飾の有無が決定できた場合、それを担う上流因子を探索する。
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Causes of Carryover |
2019年度にFar複合体因子の修飾部位同定のための質量分析を計画していたが、所属部局の改修工事に伴い質量分析装置を使用できず、計画を2020年度に延期したため。また、抗リン酸化Atg32抗体の納品が2019年度内に間に合わず、2020年度の予算として扱うため。
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