2018 Fiscal Year Research-status Report
Determining differentiation from ES cells by localization of signal receptors on the cell membrane
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18K06139
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
西原 祥子 創価大学, 理工学部, 教授 (00164575)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 胚性幹細胞 / 脂質ラフト / シグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスES細胞は、胎生3.5日目の内部細胞塊(ICM)から樹立された多能性幹細胞である。FGF4により分化の引き金が引かれると、エピビラスト、あるいは、原始内胚葉ヘと分化する。エピビラストは、その後、胎児を構成するすべての細胞へと分化し、原始内胚葉は母体と胎児をつなぐ支持組織となる。しかし、どのようなシグナルが、どのようにして、エピビラストと原始内胚葉への分化を決定づけるかは、明らかとは言えない。 一方、シグナル受容体が、細胞膜上で不均一な分布、すなわち脂質ラフトに選択的に局在し、その局在がシグナル伝達に必須なことが、我々を含む研究から明らかにされてきた。分化方向を決定するシグナルダイナミズムにおいても、シグナル受容体の脂質ラフトへの局在が鍵となると予測された。 本研究では、マウスES細胞、エピビラスト幹細胞、原始内胚葉において、脂質ラフトに局在するシグナル受容体を探索し、エピビラストと原始内胚葉への分化を決定、確定化するシグナルを明らかにする。さらに、脂質ラフト構成因子を解析し、マウスES細胞から両細胞系譜ヘの分化方向選択の機構を明らかにする。 本年度は、マウスES細胞における脂質ラフトに注目し、1%TritonX-100不溶性画分 (DRM:ラフト画分) を調整して、解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞膜の脂質構成は均一ではなく、スフィンゴ脂質とコレステロールに富むドメインがある。これらは、脂質ラフトと呼ばれ、動的ではあるが流動性が制限されており、様々なシグナル受容体やスフィンゴ糖脂質が集積して、シグナル伝達の場となっている。生化学的には、非イオン性の界面活性剤不溶性画分 (detergent-resistant membrane: DRM) として定義され、多くのシグナル受容体がこの画分から検出されている。これまで、我々は、マウスES細胞におけるLIFシグナルの活性化には、LIFが結合した後、ラックダイナック糖鎖構造を介してLIF受容体とgp130が脂質ラフトに移行することが必要であることを見出している。本年度は、このマウスES細胞における脂質ラフトに注目して解析を行った。ラフトに局在するラックダイナック糖鎖構造をもつLIF受容体とgp130をラックダイナック糖鎖構造と結合するレクチンを用いて免疫沈降したところ、マウスES細胞の未分化性維持に関わると考えられる分子が得られた。現在この分子を中心に解析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度得られたマウスES細胞の未分化性維持に関わると考えられる分子の解析をさらにおし進める。また、並行して、エピブラスト幹細胞への分化、および、原始内胚葉への分化において、本分子の挙動を解析する。さらに、この分子が、LIF受容体とgp130とともに、どの糖脂質が関与する脂質ラフトに局在するか検討する。
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Causes of Carryover |
現在保有しているReal time PCR試薬キットの消費が予想より遅く、その購入を次年度にまわすことにした。今年度、購入予定である。全体の使用計画は、ES細胞の培養に係る消耗品(培地・血清・添加物・ディッシュ等)400,000円、発現解析に係る消耗品(逆転写試薬・Real Time 試薬・抗体等)407,442円、リガンド解析に係る消耗品(組換えタンパク質・磁気ビーズ等)300,000円実験全般に使用する消耗品(チップ・チューブ等)200,000円、合計1,307,442円である。
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