2018 Fiscal Year Research-status Report
mtDNAからなる核様体構造の分散様式の変化が司るミトコンドリア機能制御
Project/Area Number |
18K06141
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石原 孝也 大阪大学, 理学研究科, 助教 (70611862)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | ミトコンドリア / mtDNA |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリアは頻繁に分裂と融合を繰り返し、膜の形態を変化させている(ミトコンドリアダイナミクス)。このミトコンドリアダイナミクスという現象は生理的にも重要な役割を果たしていることが分かってきた。さらにミトコンドリアは膜だけでなくミトコンドリアDNA(mtDNA)もダイナミックにその動態を変化させており、これがミトコンドリアの機能維持に重要である事も分かってきた。本申請研究では、mtDNAの動態制御に関わる因子の探索からその分子メカニズムを解明し、呼吸機能だけでなく多様なミトコンドリア機能との関わりについて明らかにすることを目的とする。 本年度はスクリーニングから絞り込まれたいくつかの候補因子の詳細な分子解析を進めた。その結果からも、これらがmtDNAの動態を制御していることが明らかになりつつある。そのうちのひとつは翻訳後修飾を制御する因子として報告されていたが、これまでにこの修飾機構がミトコンドリアの機能制御に関わるという報告はない。本申請研究によって、この遺伝子の発現抑制がミトコンドリアの活性を低下させ、核様体の形態を大きく変化させることが分かった。他にもミトコンドリアとは別のオルガネラの機能発現に重要な因子が候補因子となっている。このオルガネラの機能を抑制する薬剤処理でも同様の表現型が得られており、mtDNAの動態変化がこのオルガネラとのコミュニケーションにどのように関わっているのか解析を進めることで、新たなオルガネラ間コミュニケーションの重要性を議論できると考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
妻の出産にともない家事・育児の分担が増えたため、研究の実施について当初の計画よりもやや遅れている。ただし、論文の作製準備などを進めることができ、プロジェクト全体としては順調に進捗していると考えている。 mtDNAダイナミクスに関連する因子の解析について、スクリーニングによって得られた各候補因子の解析が進み、その詳細な分子機構が分かってきた。また、これら因子がミトコンドリアの活性にどのような影響を及ぼしているのかについても明らかにできつつある。いくつかの関連因子のうち、解析が進んでいる因子については、成果発表に向けての準備を始めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画にそって研究を推進していく。申請者は平成30年度より所属機関を大阪大学へと異動し、本研究計画をより推進する体制を整えることができた。今後は、網羅的なスクリーニングから得られた各関連因子について詳細な解析を積極的に進め、mtDNAのダイナミクスについて全体像を明らかにしていく計画である。さらに、これら因子の中で特に生理的に重要な機能を果たしている遺伝子については個体への影響を明らかにし、さまざまな分野へ応用可能な分子基盤情報を整えていくことも進めていく。
|
Causes of Carryover |
所属機関の異動にともない、使用予定だった一部の試薬の購入を次年度に延期した。また、妻の出産による家事・育児の分担のため、研究の実施計画には遅れが生じている。ただし、得られた研究成果について論文作製の準備を進めることができている。次年度は論文の投稿に向けて実験を進めるとともに、全体の研究計画をより発展させるための研究を遂行する。
|
Research Products
(3 results)