2020 Fiscal Year Annual Research Report
Exploring the limits of quasi-static operation of F1 motors
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18K06164
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
宗行 英朗 中央大学, 理工学部, 教授 (80219865)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | F1-ATPase / 自由エネルギー変換 / 高温条件 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は残念ながらコロナウイルスの感染症の蔓延により,実験的な研究はほとんど進められなかった.実際に蔓延は広がる一方だったので,今から思うとまだそれほど広がっていなかった時期には実験をしておくべきだったように思う.そのかわり,それまでに継続してきた野生型好熱性F1モーターのエネルギー変換効率を生理的条件に近いと考えられる高温条件下で調べた一分子実験の研究のまとめに着手した.この実験では,恒温循環槽を用いて最高65℃の恒温水をステージの下部と対物レンズに装着したジャケットに循環させ,微小熱電対で温度を測定しながら実験を行った.また,恒温水の循環に伴う微小な振動を画像処理によって補正するシステムを用いて解析した.そしてATP,ADP,無機リン酸の濃度比を変えて,いくつかの自由エネルギー変化に対応する条件で実験を行った.しかし結果としては,ATP水解による回転を停止させるための外部トルク(ストールトルク)の測定値とATP加水分解の自由エネルギー変化を温度補正して計算した結果を比較しても,高温ではエネルギー変換効率は100%よりやや低めになり,準静的な動作から外れると言う結果になった.この理由は単離したF1モーターが好熱菌の蛋白といえども高温条件で正常に働けなかった可能性もある.実際に,単離精製された条件で,細胞内とは異なったイオン強度の低い状態では正常な機能を発揮できなかった可能性は高い.それらの可能性も含めて考察を行い,現在投稿準備中である.
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Research Products
(1 results)