2021 Fiscal Year Research-status Report
細胞内イオン環境の光制御のための新規光感受性イオンチャネルの創製
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18K06168
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Research Institution | The Graduate School for the Creation of New Photonics Industries |
Principal Investigator |
平野 美奈子 光産業創成大学院大学, 光産業創成研究科, 講師 (80585167)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 光遺伝学 / イオンチャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、非侵襲な光での細胞内イオン環境制御による細胞機能の操作を目指して、光照射で活性が制御される新規光感受性イオンチャネルを創製することを目的としている。本年度は、新規光感受性イオンチャネルの構成要素である光感受性タンパク質の一種(PAC)の光依存的な構造変化の詳細を捉える系の確立を昨年度から引き続いて行った。下記に詳細を示す。 光刺激によってATPからcAMPを生産するタンパク質であるPACの二量体間の構造変化を、多分子レベルと1分子レベルで捉えることを行っている。前年度にFRETが起こることを確認した蛍光色素Cy3(ドナー)あるいはCy5(アクセプター)で標識したPAC変異体について、青色光照射でPACを活性化した場合としなかった場合でのFRETを測定した。Cy5の蛍光強度でFRETを調べた結果、青色光照射の有無で蛍光強度の違いが見られたものの、その変化は小さく、捉えるのが難しかった。そのため、FRETで効率よく距離変化を捉えることができるフェルスター距離を考慮し、PACの構造情報を基に、新たに蛍光標識PAC変異体を3種類作製した。それぞれ、PACの光感受ドメイン、触媒ドメイン、我々が見つけた光感受性調節部位であるC末端、のいずれかの部位のアミノ酸をCy3とCy5で標識した変異体である。これらの変異体を用いて、それぞれの部位の構造変化をFERT効率の変化で捉えることを進めており、得られるPACの構造変化の情報から光感受性チャネルを設計することを考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度、光感受性イオンチャネルの構成要素である光感受性タンパク質PACの構造変化を可視化し、詳細な構造変化の情報を得る系の見直しを行ったため、計画の遅れが生じた。今後、本年度新たに作製したPACを用いて構造変化の詳細な情報を得ることにより、イオンチャネルの構造変化を引き起こすことが可能なPACの部位を見つけ、新たな光感受性チャネルの設計を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに作製したPAC変異体を用いて、PACの光依存的な構造変化の詳細な測定し、光依存的に構造変化する部位をいくつか見つけ出す。PACの構造変化でイオンチャネルの活性を制御するため、見つけた部位をイオンチャネルの活性制御部位に結合した変異体を作製する。その後、昨年度開発した簡便なチャネル活性測定装置で、作製した変異体の光依存的なチャネル活性を調べ、光依存的に活性が変化する変異体を選び出す。変化が大きかった変異体を卵母細胞に発現させ、細胞内で光依存的なチャネル活性を評価する。
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Causes of Carryover |
本研究を推進中に研究の鍵となる光感受性タンパク質の構造変化を捉える系の見直しが必要となり、この情報をもとに最終的に創製する予定の光感受性イオンチャネルの設計を検討し直す必要があったため。
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