2019 Fiscal Year Research-status Report
ヘリカーゼの多量体形成・DNA巻き戻し機能・化学力学共役機構の相関関係の解明
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18K06169
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Research Institution | The Graduate School for the Creation of New Photonics Industries |
Principal Investigator |
横田 浩章 光産業創成大学院大学, 光産業創成研究科, 准教授 (90415547)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 1分子計測 / ナノバイオ / 核酸 / 酵素反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
多くのタンパク質で見られる多量体形成は、タンパク質の活性制御などに重要な役割を果たす。代表研究者は非六量体型スーパーファミリー1ヘリカーゼUvrD が多量体を形成してDNAを効率的に巻き戻すことを明らかにした。しかし、2分子目のUvrDのDNAへの結合がどのようにDNA巻き戻しをトリガーするのか、多量体を構成する個々のUvrDがATP加水分解エネルギーをどのように使ってDNA巻き戻しをしているのかの詳細は不明である。 そこで本研究ではUvrD のDNA上での多量体形成・DNA巻き戻し機能・ATP加水分解エネルギーの化学力学共役機構の相関関係を蛍光1分子イメージングすることで明らかにすることを目指している。 2019年度は、多量体を形成できないとされるC末端40アミノ酸欠損変異体(UvrDΔ40C)および高いDNA巻き戻し活性をもつ変異体の蛍光1分子直視、より多くのC末端アミノ酸を欠損する変異体の発現・精製・蛍光標識、多色同時蛍光1分子イメージング光学系へのゼロモード導波路の導入、DNA巻き戻しの1塩基分解能観察のためのDNA基質の準備を行った。 UvrDΔ40Cの蛍光1分子直視については、さらに研究を進め、野生型UvrDが効率的なDNA巻き戻し活性を発揮するのに最低限必要な長さの一本鎖DNA(12ヌクレオチド)をもつDNAを巻き戻す際にもUvrDΔ40Cが多量体を形成していること、および生理的な塩強度条件下(200 mM NaCl)でも多量体でDNAを巻き戻すことを明らかにした。これらの結果を前年度までに得られた結果と合わせてBiophysical Journal誌に出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
UvrD変異体の蛍光1分子直視、多色同時蛍光1分子イメージング光学系へのゼロモード導波路の導入を遂行した。また研究を発展させる形で、より多くのC末端アミノ酸を欠損する変異体の発現・精製・蛍光標識を完了した。 一方、ゼロモード導波路を用いた蛍光1分子イメージングや、DNA巻き戻しの1塩基分解能観察はやや遅れている。これは、UvrDΔ40Cの蛍光1分子直視の結果をBiophysical Journal誌に出版するにあたり、野生型UvrDが効率的なDNA巻き戻し活性を発揮するのに最低限必要な長さの一本鎖DNA(12ヌクレオチド)をもつDNAを用いた蛍光1分子直視や、生理的な塩強度条件下(200 mM NaCl)での蛍光1分子直視などの追加実験に多くの研究時間をとられたことが原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
野生型UvrDについては、DNA巻き戻しの1塩基分解能観察、ATPの蛍光1分子イメージングを継続する。UvrD変異体については、高いDNA巻き戻し活性をもつ変異体について蛍光1分子直視で得られたデータの解析、UvrDΔ40Cよりさらに多くのC末端アミノ酸を欠損する変異体の蛍光1分子直視を行う。そして、これらの変異体ついても、DNA巻き戻しの1塩基分解能観察、ATPの蛍光1分子イメージングを行う。
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Causes of Carryover |
ゼロモード導波路を用いた蛍光1分子イメージングや、DNA巻き戻しの1塩基分解能観察にやや遅れが生じたため、次年度使用額が生じた。今後は研究計画にそって使用する。
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