2018 Fiscal Year Research-status Report
in vitro enChIP法を利用した細胞系列特異的な染色体三次元構造の解明
Project/Area Number |
18K06176
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
藤田 敏次 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (10550030)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ChIP / enChIP / in vitro enChIP / locus-specific ChIP / CRISPR |
Outline of Annual Research Achievements |
染色体三次元構造の動的変化の理解には、解析対象とするゲノム領域と相互作用しているゲノム領域を網羅的に同定することが重要である。申請者らは、細胞から標的とするゲノム領域を特異的に単離する方法としてin vitro enChIP法を開発した。本方法に次世代シーケンス解析(NGS解析)を組み合わせることで、標的とするゲノム領域と相互作用しているゲノム領域を網羅的に同定することが可能である。 本研究では、in vitro enChIP法とNGS解析を組み合わせたin vitro enChIP-Seq法の最適化を通して、本技術を汎用的なゲノム領域間相互作用解析技術として確立する。さらに、細胞系列特異的な染色体三次元構造の解明を目的として、抗体産生B細胞の分化制御因子であるPax5をコードするPax5遺伝子と相互作用しているゲノム領域を網羅的に同定する。本研究では、B細胞特異的な染色体構造の解明に迫るとともに、ゲノム領域間相互作用の視点から、B細胞分化制御機構について解析する。 本年度は、CD19陽性細胞をB細胞としてマウス脾臓から回収し、in vitro enChIP法によりPax5遺伝子プロモーター領域を単離することに成功した。また、in vitro enChIP-Seq法を行うことで、B細胞において当該プロモーター領域と相互作用するゲノム領域の網羅的解析を進めている。 また、ヒトB細胞株Raji細胞を使用し、in vitro enChIP-Seq法によりPax5遺伝子プロモーター領域と相互作用するゲノム領域の網羅的同定も進めている。これまでに、ヒトB細胞株Raji細胞からin vitro enChIP法によりPax5遺伝子プロモーター領域を単離することに成功し、現在、in vitro enChIP-Seq解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請記載の研究計画に沿って、CRISPR系を利用したin vitro enChIP法を進めることができた。現在、Pax5遺伝子プロモーター領域と相互作用するゲノム領域の網羅的同定を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト・マウスでは、種を超えて保存されているゲノム領域(塩基配列)も多いことから、in vitro enChIP解析の結果を比較することで、種を超えて保存されているB細胞特異的な染色体三次元構造を解析する。また、エンハンサー領域に濃縮されることが報告されているヒストン修飾に対するChIP-Seq解析を行うことで、Pax5遺伝子プロモーター領域と相互作用しているゲノム領域について、「転写制御領域」や「物理的近接領域」などの機能的な評価を加える。
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Causes of Carryover |
計上した旅費の使用が無く、また、一部、物品の購入がなかったため。 次年度は、購入予定の物品の購入をするとともに、研究発表の機会を増やしていく。
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