2020 Fiscal Year Research-status Report
内在性レトロエレメントLINE-1のDNA損傷誘導性選択的転移による発がん機構
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18K06191
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
飯島 健太 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 研究技術職員 (20565626)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | LINE-1 / DNA損傷 / 発がん |
Outline of Annual Research Achievements |
LINE-1はヒトゲノムの約17%を占める転移因子であり、現在でも約100コピーのLINE-1が転移能を保持している。LINE-1の動きが環境刺激により活性化されることが報告されているが、その活性化機序、及び生物学的な意義は不明である。一方近年のゲノム解析技術の進展により、がん細胞における高頻度のLINE-1の新規挿入が示され、LINE-1と発がんとの関連が注目されている。申請者はLINE-1転移誘導因子としてDNA損傷に着目し、その誘導機構について解析を行い、LINE-1がDNA損傷に応答して各種転写因子の標的遺伝子プロモーター上に結合すること、またLINE-1タンパクを人工的に集積したゲノム領域へのLINE-1の新規挿入を明らかした。本申請課題ではDNA損傷ストレス下での、①新規LINE-1挿入部位と、②これに伴う細胞形質変化、および細胞がん化との関連について明らかにしてゆく。本年度は①のLINE-1が環境刺激に応答して特定のゲノム領域に結合する分子メカニズムを明らかにするために、LINE-1タンパク質が結合する生体分子を網羅的に明らかにする実験系を立ち上げた。具体的には、近位依存性ビオチン化標識法に用いるアスコルビン酸過酸化酵素(APEX)をLINE-1タンパク質に融合、培養細胞において発現誘導し、LINE-1の転移、およびLINE-1特異的なビオチン化が観察できる条件について検討した。 また所属施設を異動し、がん移植モデル実験、および発がんモデル実験を進めるための、予備実験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
投稿中の論文の修正に多くのエフォートを割かれたことに加え、新型コロナの感染拡大による研究室への立ち入り制限などにより、研究にあてられる時間そのものが削減されたため、本研究課題の進行が遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
すでにLINE-1の新規挿入部位についての解析は終了しており、2020年度で作成した近位依存性ビオチン化標識法を用いることにより、LINE-1が指向性をもって転移を引き起こす分子メカニズムを明らかにする。 また2021年度より、所属施設を異動し、より動物実験を推進できる環境となったため、LINE-1転移と発がんについて、がん移植モデル実験、および発がんモデル実験を用いて明らかにしてゆく。
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Causes of Carryover |
新型コロナの感染拡大による研究室への立ち入り制限などにより、研究にあてられる時間そのものが削減されたため、本研究課題の進行が遅延した。 また上記理由により学会への参加も抑制され全体の支出額が当初の予定よりも減少した。 残額を2021年度において、研究課題の遂行に充てるとともに、論文投稿を目指す。
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