2020 Fiscal Year Research-status Report
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18K06207
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木瀬 孔明 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (70769611)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 樹状突起 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳神経系が機能的な神経回路を正しく構築するためには、莫大な数の神経細胞それぞれが自己と非自己を識別し、自己の突起間でのみ反発作用を引き起こす、自己交叉忌避と呼ばれる原理が必須である。本研究は自己交叉忌避の分子機構を解明することを目的とする。自己交叉忌避には細胞認識分子Dscamが必要であり、 Dscamによる自己の認識機構は詳細に明らかにされている。一方でDscamが自己を認識した後に自己の突起間で反発作用を生み出す分子機構は全く明らかにされていない。これまでに、Dscamと生化学的、遺伝学的に相互作用する複数の新規分子を同定することに成功している。さらに、それら新規Dscam下流分子の、Dscam細胞内ドメインにおける結合モチーフに様々な組み合わせで変異を導入したDscam BACトランスジェニック系統を樹立することに成功した。
本年度は、これらのDscam変異体系統を用いて、樹状突起や軸索においてin vivoでの表現型を観察すために必要な系統の作成をおこなった。中枢神経系には膨大な数の神経細胞が存在し、かつ個々の神経細胞の樹状突起や軸索は複雑に枝分かれしている。そのため、神経細胞を1細胞レベルでラベルし、かつ1細胞レベルで遺伝子操作することが可能な系の立ち上げを行った。その過程で、軸索の伸長と維持に必要なリン酸化酵素Wnkを同定するとともにその下流因子の同定にも成功し、現在論文を投稿中である。この実験系を用いて、新規同定分子群がDscamの下流因子であることを検証していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1細胞レベルで神経細胞を可視化する系統の樹立に予定より時間がかかったが、一方で、その系を用いてwnkの機能解析の論文をまとめ、投稿することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は1細胞レベルでの表現型の観察をおこない、自己交差忌避の機構を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
研究成果の質をよりよくするための実験系の確立に時間がかかった。
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Research Products
(1 results)