2018 Fiscal Year Research-status Report
Mechanism of cell death in tetraploid cells generated from mitotic slippage
Project/Area Number |
18K06221
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
井上 敏昭 鳥取大学, 医学部, 准教授 (80305573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古倉 健嗣 鳥取大学, 医学部, 助教 (30344039)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | SIRT2 / p53 / p21 / Myc / 抗がん剤 / 細胞死 / M期停止 / 四倍体化 |
Outline of Annual Research Achievements |
微小管阻害剤など紡錘体チェックポイントを発動させる薬剤の抗癌作用は、M期停止中の細胞死、加えてM期完了せぬままG1期にスリップした四倍体での細胞死(PSD)誘導にある。PSDに必要な分子として我々が同定したSIRT2は、配下の二つの経路、オートファジー-Myc経路、p53-p21経路でPSDを制御する。PSDを標的とする制癌をめざし、本課題ではSIRT2配紡錘体チェックポイントは、全ての染色体が紡錘体と正しく結合するまで分配されないようM期停止させる監視機構である。紡錘体を標的とする抗癌剤(微小管阻害剤)としての作用機序は、紡錘体チェックポイントを発動させ、二つの細胞死を誘導することにある。 一つはM期停止中のアポトーシス(Death in Mitosis; 以下DiM)である。しかしM期停止は永続せず、紡錘体が破壊されたままでも一定時間後にM期停止は終了し、DiMで死ななかった細胞は、染色体分配されないままG1期へスリップし四倍体化する。このとき一部の細胞で第二の細胞死 (Post-Slippage Death; 以下PSD)が起きる。この二つの細胞死が紡錘体を標的とする抗癌剤の感受性を左右する。この2つの細胞死について、SIRT2の機能解明を進め、制がんに重要な知見を目指している。既にこの解明のキーとなるSIRT2の下流として、p53-p21経路、オートファジー経路、微小核形成を見出しているのでその機序を探る。 なお、SIRT2タンパクがp53を制御する新たな機序については今年度報告した。(Biochem Biophys Res Commun. 2019 Jan 1;508(1):230-236)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
p53のユビキチン化酵素MDM2に対するユビキチン化酵素の一つにP/CAFがある。SIRT2は P/CAFとタンパク同士で結合→脱アセチルによるP/CAF不安定化→MDM安定化でp53発現 を抑制していた。SIRT2がp53蛋白安定性を制御する機序については、日本癌学会発表で報告し、さらに論文として報告した。これまでの研究でp53の代表的標的遺伝子であるp21が微小管阻害剤処理でM期停止した細胞の細胞死を抑制するという、制がんにおいては負の側面を見出している。この場合のp21の作用機序は不明であり、従来想定されていたCDK1阻害ではない。本研究ではオートファジーや他の候補経路に着目してp21がM期停止した細胞死を探った。多数の候補経路の中からp21蛋白との結合が報告されているある蛋白がSIRT2低下に伴い(このときp21蛋白は増加する)分解されることを見出した。また予想と異なり、p21はPSDではなくM 期停止中の細胞死を抑制していることが分かった。同時にSIRT2はPSDだけでなくp21を介してM期停止中の細胞死を制御していること明らかになった。 PSDへのSIRT2の関与については標的としてMycおよびオートファジー関連分子に着目し今後解析する。
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Strategy for Future Research Activity |
まずはがん抑制因子であるp21の負の側面である、抗がん剤によりM期停止した細胞の細胞死を抑制する機序について、その候補標的として見つけたタンパクの機能と制御を探ることで、SIRT2の機序を解明する。一方のPSDへのSIRT2の関与については標的としてMycおよびオートファジー関連分子に着目し今後解析する。p21は四倍体化した細胞のG1期停止にも関与しており、これがPSD抑制にも働く可能性もあるので、この可能性も同時に検討する。
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