2018 Fiscal Year Research-status Report
A Study on function of protocadherin 1 cell adhesion molecule in the nervous system.
Project/Area Number |
18K06230
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
平野 伸二 関西医科大学, 医学部, 教授 (80222248)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古瀬 民生 国立研究開発法人理化学研究所, バイオリソース研究センター, 開発研究員 (60392106)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | カドヘリン / 神経回路 / シナプス / 細胞接着 / 自閉症 / 行動解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞接着分子のプロトカドヘリン1(Pcdh1)を中心に、関連分子であるPcdh9, Pcdh11x, Pcdh10の複数のプロトカドヘリンを並行して神経系での解析や準備等を進めた。Pcdh1については、まずPcdh1遺伝子のプロモーター下流にlacZ遺伝子の挿入されたノックインマウス(ヘテロ接合体)の脳スライスを用いて発現の解析を行った。その結果、成体の脳では海馬や扁桃体などに強く発現し、大脳皮質などにも弱く発現ていることがわかった。この結果とPcdh1ノックアウトマウスの行動解析の結果(ノックアウトマウスにおいて社会性行動が亢進されるなど)について、北米神経科学会Neuroscience 2018 にて発表を行った。また、Pcdh1の細胞内領域に対するモノクローナル抗体を数回にわたり10クローン以上作製した。しかし、いずれも強制発現した培養細胞では染色できたが、組織切片での内在性のタンパク質の染色には感度が不十分であった。 一方、識字障害の関連遺伝子であるPcdh11xについては、ノックアウトマウス(ヘミ接合体)の行動解析を始めた。予備的な結果ではあるが、ノックアウトマウスではオープンフィールドや社会性行動テストなどの解析では大きな変化はなかったが、活動量が上昇していることがわかった。また、自閉症の関連遺伝子であるPcdh9のノックアウトマウスの表現型の解析では、脳室が大きくなる傾向があることがわかった。また、別の自閉症の関連遺伝子であるPcdh10については、Floxed マウスの作製を始めた。これについては令和元年5月ごろにヘテロマウスができる予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
Pcdh1の進捗状況については、全体的に計画より遅れている。作製した抗Pcdh1モノクローナル抗体が内在の免疫染色には不向きであることが判明し、分布の解析については未定である。また、平成18年10月に発生した動物施設での日和見菌による感染事故により飼育していたマウスの全処分を行ったことにより、半年近くノックアウトマウスが使用できなかった。現在体外受精により変異マウスの個体化を進めている最中であるが、4月現在まだ回復できていない。また、研究協力者の異動もあった。組織学的な解析を優先させるためPcdh1タンパク質と相互作用する分子の探索については現在中断している。一方、Pcdh11xの行動解析は順調に進んでおり、令和元年度に結果が出る予定である。また、Pcdh9について、個体数が回復しつつあり、組織レベルでの表現型の解析を始めるところである。Pcdh10についてはFloxedマウスの作製を進め、キメラマウスができたところである。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は早急に変異マウスの個体数を回復させ、ノックアウトマウスの解析に移る。Pcdh1については、カルレチニンやセロトニンなどの細胞種特異的マーカーを用いて組織学的な表現型の解析を始める。またPcdh1と比較するためにPcdh9ノックアウトマウスの表現型の解析も並行して行っていく。Pcdh9については、これまでに脳室が大きくなるという組織学的な異常がみられるので、ニューロンの新生や特定の細胞種の分化などを調べる。また新奇物体を避けるという行動異常が観察されているので、それが恐怖などによる情動行動の異常か、認知機能の異常なのかを区別するために”ビー玉隠し”などの行動解析を行い、研究をまとめていきたいと考えている。Pcdh11xについても、個体数が回復すれば、組織における表現型の解析に移っていく。Pcdh10 Floxed マウスについては、行動解析の準備のためバッククロスを続けていく予定である。
|
Causes of Carryover |
10月に起きた動物施設の日和見菌の感染事故によりマウスの全頭処分をするなどの予期せぬ事態が生じ、研究計画に遅れと変更が生じたため、研究費の執行が遅れた。令和元年8月頃にはマウスの数が回復予定であり、順次研究費を執行していく予定である。
|
Research Products
(3 results)