2020 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on function of protocadherin 1 cell adhesion molecule in the nervous system.
Project/Area Number |
18K06230
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
平野 伸二 関西医科大学, 医学部, 教授 (80222248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古瀬 民生 国立研究開発法人理化学研究所, バイオリソース研究センター, 開発研究員 (60392106)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | カドヘリン / 神経回路 / シナプス / 細胞接着 / 自閉症 / 行動解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、細胞接着分子のプロトカドヘリン(Pcdh)1を中心にPcdh9やPcdh10などのプロトカドヘリン分子群を関連づけながら研究を進めている。2020年度は2019年度から引き続きPcdh9の解析を重点的に進めた。まず、Thy-1-GFPトランスジェニックマウスをレポーターとしてPcdh9ノックアウトマウスと交配し、大脳皮質と海馬のニューロンでの形態を調べた。その結果、Pcdh9ノックアウトマウスでは、大脳皮質の錐体ニューロンではスパインの数に変化は見られなかったが、海馬CA1領域においては野生型に比べてスパインの密度が減少していた。次に、扁桃体におけるPcdh9の細胞レベルでの発現を RNA scope を用いて調べた。その結果 Pcdh9 は、扁桃体ではBLApで特異的に発現しており、恐怖情動に関係すると報告されているエストロゲン受容体陽性細胞には発現が見られなかったが、恐怖情動を抑制する細胞として知られている Ppp1r1b陽性細胞で発現していることが明らかになった。一方行動解析においては、「ビー玉隠し」テストを行ったところ、Pcdh9ノックアウトマウスでも変化が見られなかった。また、新奇物体の認識テストを行ったところ、ノックアウトマウスでは一部の指標に低下が見られたことから、物体の認識や記憶に何等かの異常がある可能性が示唆された。 Pcdh10のFloxedマウスの作製については、loxPが目的通りに挿入されていると考えられるものを選び、戻し交配により遺伝的背景の均一化を図った。 また、細胞外基質による上皮形成への影響とカドヘリンとの関係について解析を行い、特定の細胞外基質が上皮の基本構造を誘導し、カドヘリンが上皮構造の安定化と促進をする可能性を示した。
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