2022 Fiscal Year Annual Research Report
Formation mechanism of the "cut here line" across multiple segments in insect cuticle
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18K06243
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小嶋 徹也 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (80262153)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 昆虫 / クチクラ / 切取り線 / 囲蛹殻 / 羽化 / 脱皮 / Notch / Gld |
Outline of Annual Research Achievements |
昆虫をはじめとする節足動物の体は、表皮細胞が分泌するキチンやクチクラ・タンパク質によって構成されるクチクラに覆われている。脱皮や羽化の際に、古いクチクラは「切取り線」となる決まった部位から開裂し、脱ぎ捨てられる。本研究では、ショウジョウバエの羽化の際に開裂する囲蛹殻の「切取り線」であるoperculum ridge (OR)の形成メカニズムについて、OR形成細胞で活性化するNotchシグナルに着目し、クチクラに「切取り線」をつくる構造的・時間的・空間的なメカニズムの解明を目指した。 ショウジョウバエでは3齢幼虫のクチクラが脱ぎ捨てられずに囲蛹殻となるため、ORは3齢幼虫のクチクラ上に作られ始める。3齢幼虫期の予定OR領域のクチクラ構造の解析とNotchシグナルの機能解析から、キチン染色によりみられる繊維状の微細構造や、クチクラ・タンパク質であるTubbyとObstructor-Eの蓄積、Cuticular protein 11Aの局在消失など、OR予定領域の特殊な構造が、Notchシグナル依存的に形成されることがわかった。NotchシグナルによってGlucose dehydrogenase (Gld)が発現することで、この特殊構造が囲蛹殻形成後に取り除かれてORが完成することも明らかとなった。また、NotchシグナルによってOR形成細胞の形状が前後軸方向に細長くなることで、ORが細い線状に形成されることもわかった。OR形成細胞でのNotchシグナルを活性化するSerrate (Ser)については、OR形成細胞に沿った細胞で発現することがわかり、複数の独立した発現制御領域によって制御されていることも示唆された。これらのことから、SerによるOR形成細胞でのNotchシグナルの活性化によって、クチクラに「切取り線」として機能する特殊構造が形成されるメカニズムが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)