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2018 Fiscal Year Research-status Report

不要神経回路の選択的除去メカニズムの解明

Research Project

Project/Area Number 18K06247
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

長谷川 恵理  東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (50469607)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywordsショウジョウバエ / 感覚ニューロン / 軸索 / シナプス / リモデリング
Outline of Annual Research Achievements

脳神経回路の大まかなネットワークは胎児期に形成されるが、その後の発達過程においてネットワークのリモデリングが起こることで、機能的な神経回路が形成される。しかし、一度形成された回路の中から特定の神経突起のみを除去する分子メカニズムについては、実験手法の難しさから、ほとんど理解されていない。本研究は、ショウジョウバエ表皮感覚ニューロンをモデルとして、軸索・シナプスの選択的除去を担う分子細胞基盤を明らかにすることを目的とする。
ショウジョウバエ感覚ニューロンの樹状突起は、変態期に大規模に刈り込まれることが知られている。樹状突起の刈り込みには、エクダイソンシグナルやカルシウムシグナル、タンパク質分解系などが関与することが明らかにされている。そこでまず、これらの樹状突起刈り込み因子が、感覚ニューロンの軸索・シナプス刈り込みにも必要かどうか確かめたところ、少なくともエクダイソンシグナルが必要であることがわかった。樹状突起と軸索・シナプス刈り込みでは一部の因子のみが共通である可能性が考えられ、樹状突起刈り込みと軸索・シナプス刈り込みにおいて厳密な制御機構が働いていると予想される。さらに、軸索・シナプス刈り込みを制御する因子を同定するために、軸索・シナプス刈り込み前のいくつかの発生段階においてトランスクリプトーム解析を行った。その結果、軸索・シナプス刈り込み前には約100遺伝子の発現が変化していることがわかった。これらの遺伝子について変異体解析を行い、軸索・シナプス刈り込みを促進する因子の候補として、RNA結合タンパク質の一つを同定した。この因子はmRNAのスプライシングやRNAの安定性への関与が知られている。現在この因子の詳細な解析を進めている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

樹状突起刈り込みは複雑な遺伝子カスケードによって制御されているが、それらの因子の内、一部のみが軸索・シナプス刈り込みにも関与していることがわかり、軸索と樹状突起刈り込みの共通原理と特殊原理が見えてきつつある。さらに、軸索・シナプス刈り込みを制御する因子のスクリーニングにおいて、単細胞生物からヒトまで広く保存されたRNA結合質の同定に成功した。

Strategy for Future Research Activity

軸索・シナプス刈り込みの細胞メカニズムを明らかにするために、高感度ライブイメージング法を用いて、軸索・シナプス除去の素過程を明らかにする。具体的には、微小管やアクチンなど細胞骨格のGFPマーカーや、カルシウムインジケーターなど各種シグナル可視化マーカーなどを感覚ニューロン特異的に発現させてイメージングを行う。感覚ニューロンの樹状突起刈り込みに関しては、微小管やアクチンなどの細胞骨格の動態や、カルシウム動態について詳細な情報がすでに明らかにされている。このため、同様のデータを軸索刈り込みについても取得し、樹状突起の場合と比較することにより、軸索・シナプスと樹状突起の除去メカニズムの類似点と相違点を細胞メカニズムの観点からも明らかにしたいと考えている。解剖した蛹を用いた長時間ライブイメージングは困難であることがわかったため、2光子顕微鏡を用いて殻を除いた蛹のイメージングを計画している。
スクリーニングによって同定したRNA結合タンパク質には、複数のアイソフォームが存在するため、どのアイソフォームが軸索・シナプス刈り込みを制御しているのか、明らかにする。また、この因子がエクダイソンシグナルの制御を受けているのかどうか確かめる。さらに、このRNA結合タンパク質が発現制御を行っている因子を探索し、軸索・シナプス刈り込みの実行因子を同定したいと考えている。

Causes of Carryover

実体顕微鏡にCCDカメラを取り付ける予定であったが、その必要がなくなったため。
今年度は、学会参加費、ショウジョウバエ系統購入費、分子生物学実験用試薬購入費に充てる。

  • Research Products

    (6 results)

All 2019 2018 Other

All Int'l Joint Research (1 results) Journal Article (2 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Int'l Joint Research] Washington University(米国)

    • Country Name
      U.S.A.
    • Counterpart Institution
      Washington University
  • [Journal Article] 脳神経回路の除去と再生の分子細胞基盤2019

    • Author(s)
      中浜諒大、増岡宏哉、長谷川恵理、冨樫和也、榎本和生
    • Journal Title

      生体の科学

      Volume: 70 Pages: 14-18

  • [Journal Article] 神経突起の選択的除去メカニズム2018

    • Author(s)
      長谷川恵理, 北谷育子、 柳学理、榎本和生
    • Journal Title

      実験医学

      Volume: 36 Pages: 1978-1988

  • [Presentation] Cellular and molecular mechanisms of neurite remodeling in Drosophila2018

    • Author(s)
      Eri Hasegawa, Yasuko Kitatani, Satoyoshi Yanagi, Kazuo Emoto
    • Organizer
      第41回 日本神経科学学会(2018)
  • [Presentation] Cellular and molecular mechanisms of neurite remodeling in Drosophila2018

    • Author(s)
      Eri Hasegawa, Yasuko Kitatani, Satoyoshi Yanagi, Akane Tezuka, Kazuo Emoto
    • Organizer
      CSH Asia Meetings-Latest Advances in Development & Function of Neuronal Circuits
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] ショウジョウバエ感覚ニューロンの再生におけるmicroRNAの役割2018

    • Author(s)
      北谷育子、手塚茜、長谷川恵理、Jay Z. Parrish、榎本和生
    • Organizer
      日本動物学会 第89回大会

URL: 

Published: 2019-12-27  

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