2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18K06247
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
長谷川 恵理 金沢大学, 先端科学・社会共創推進機構, 特任助教 (50469607)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ショウジョウバエ / 感覚ニューロン / 軸索 / シナプス / リモデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
脳神経回路の大まかなネットワークは胎児期に形成されるが、その後の発達過程において、ネットワークのリモデリングが起こることで機能的な神経回路が形成される。しかし、一度形成された回路の中から特定の神経突起のみを除去する分子メカニズムについては、実験手法の難しさから、ほとんど理解されていない。本研究は、ショウジョウバエ表皮感覚ニューロンをモデルとして、軸索・シナプスの選択的除去を担う分子細胞基盤を明らかにすることを目的とする。 ショウジョウバエ表皮感覚ニューロンの樹状突起は、変態期に大規模に除去されるが、これまでに我々は、表皮感覚ニューロンの軸索もシナプス領域において除去されることを見出していた。従って、ショウジョウバエ表皮感覚ニューロンは樹状突起と軸索の両方の除去過程を同時に解析できる特徴的な系と言える。変異体解析より、表皮感覚ニューロンの樹状突起除去を制御する因子の一部が軸索・シナプス除去も制御していることがわかった。樹状突起と軸索・シナプス除去過程には共通原理と特殊原理が存在すると考えられる。さらに、軸索・シナプス除去過程を包括的に理解するために、軸索・シナプス除去前のいくつかの発生段階でトランスクリプトーム解析を行った。その結果、軸索・シナプス除去前には約100遺伝子の発現が変化していた。これらの遺伝子について変異体解析を行い、軸索・シナプス除去を制御する因子の候補として、RNA結合タンパク質を同定した。 今年度は同定したRNA結合タンパク質をコードする遺伝子の詳細な変異体解析を行った。このRNA結合タンパク質には、I型とII型を含むいくつかのアイソフォームが存在するが、発現解析からI型が機能している可能性が高いと考えている。この因子は樹状突起除去にも関与していると考えられるため、本研究成果は樹状突起と軸索除去を協調的に制御するメカニズム解明の足がかりになると考えている。
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