2023 Fiscal Year Annual Research Report
The gustrulating endoderm attracts the visceral mesoderm through secretory factors
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18K06258
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
村上 柳太郎 山口大学, その他部局等, 名誉教授 (40182109)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ショウジョウバエ / 内胚葉 / 前後性 / 左右相称動物 / ParaHox |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は実験データの整理とまとめ、さらにゲノムデータベースの探索を中心とした内胚葉部域分化の系統発生的解析を行い、残っていた予算のほぼ全額を海外で開催された国際学会、第6回アジアパシフィックショウジョウバエ会議(6th APDRC)への参加・発表経費の一部に使用した。発表タイトルは、"The gene regulatory pathway of the regional differentiation of the endoderm of Drosophila melanogaster and its phylogenetic aspects"。昨年までの研究で判明したショウジョウバエ内胚葉後半部の決定に関わる ParaHox 遺伝子のひとつ caudalが、他の動物群のゲノムにも存在するかどうか、さらに存在する場合の発現組織について文献データをもとに系統的に検討した結果、ParaHox 遺伝子群の系統進化と内胚葉後半部の決定の関連について、新たな知見が得られた。3種類のParaHox 遺伝子のひとつ Gsx は全ての後生動物グループが有していたが、配列から判断して明確なcaudalのオーソログが見られるのは、内胚葉が前後極性を持つ管状の消化管を進化させた左右相称動物の段階であると結論付けられた。放射相称の内胚葉(消化腔を取り囲む)を持つ刺胞動物のゲノムには、Gsx に加えてもう一つの ParaHox 遺伝子が見られるが、caudal との配列相同性は非常に低く、caudal のオーソログとは見做されなかった。この研究結果により、内胚葉の前後性の成立が、ParaHox 遺伝子 caudal の登場によって引き起こされたと考えることができる。文献調査からも、鳥類や哺乳類の内胚葉後半部で caudal のオーソログが発現しており、後半部を誘導する機能が示唆されている。これらの知見が今年度得られた最も重要な研究結果であり、これまでに得られた caudal遺伝子によるショウジョウバエ内胚葉後半部が決定される働きを示す発生遺伝学的知見と合わせて論文として公表する予定である。
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