2020 Fiscal Year Research-status Report
Regulatory mechanisms of germline stem cells in colonial ascidian
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18K06259
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
砂長 毅 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 准教授 (20448393)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 生殖細胞 / TDRD / Tudor |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ミダレキクイタボヤの有性化のタイミングで発現量が上昇する遺伝子群を中心として,その発現パターンと機能を調べることにより,生殖細胞の供給源としてはたらく生殖系列幹細胞の分化調節機構およびその幹細胞ニッチの所在,ニッチから幹細胞への分化調節シグナルの実態について明らかにする。 2020年度は,生殖系列の発生に関与する遺伝子を含むTDRD遺伝子ファミリーの発現解析を実施した。トランスクリプトームデータからTDRD遺伝子ファミリーのcDNAと予想される配列を12クローン,スクリーニングした。定量RT-PCR法により有性生殖期と無性生殖期の各mRNAの発現量を比較した。その結果,12のうち,11クローンについて,無性生殖期と比べ有性生殖期に多く発現していることが分かった(3倍弱~およそ100倍の範囲)。また,1クローンは無性生殖期と有性生殖期で有意な発現量の差が見られなかった。次に,in situ 解析により有性生殖期での発現増加率の高い上位2クローン(およそ15倍および100倍に上昇)について,mRNAの発現を調べたが,特異的な発現が検出されなかった。その他の10クローンについてもRNAプローブを合成し,引き続き,発現解析を進めている。無性生殖期と有性生殖期で有意な発現量の差が見られなかった1クローンは,他の動物において生殖系列特異的に発現する遺伝子のオーソログである可能性があり,ミダレキクイタボヤにおいてユニークな機能をもつ遺伝子かもしない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は当初から新型コロナウイルス感染症拡大の影響をうけ,研究環境として必須の臨海実験施設の使用が制限されたり,所属機関より在宅勤務の指示を受けたこともあり,実験に着手することが困難であった。実験動物であるホヤは海上で飼育しており,定期的なメンテナンス作業が必要であるが,これも最低限の作業のみに制限されたため,実験室での作業が可能となった時期においても,平常時の研究進度を回復することが難しかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は,2018年度に豪雨被害により実験動物の飼育に大きな影響を受けて以来,2019年度においても研究進捗にやや遅れが生じていた。2020年度を最終年度とする計画であったが,新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け,研究を進めることが出来なかったため,研究期間を1年間延長することとした。研究の最終年度として,発現解析が完了している遺伝子については,機能解析に進むクローンに優先順位をつけて実施する。当初の研究目的および研究計画の大幅な変更は不要と判断しており,解析対象の遺伝子の進捗に応じて成果のまとめ方を考慮して研究を進める。
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Causes of Carryover |
2020年度は,計画していた実験がほとんど実施できなかった。特に遺伝子の機能阻害に必要な試薬(1つの遺伝子につき5万円から6万円の費用)の購入に至らなかったことが,残額が生じた主たる要因である。また,2019年度からの残額の持ち越しがあったことも原因である。研究期間を1年間延長し,2021年度を最終年度として,当初の研究目的の達成のために使用する。
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Research Products
(2 results)