2020 Fiscal Year Annual Research Report
Study for mesenchymal stem cells derived from the two different origin
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18K06264
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
江良 択実 熊本大学, 発生医学研究所, 教授 (00273706)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
背景と方法 私たちは、これまでにヒトiPS細胞から由来が異なる2つの間葉系幹細胞(MSC)、神経上皮(神経堤)由来(RA-Pa-MSC)と中胚葉細胞の由来(PSP-MSC)のMSCを分化誘導することに成功している。2018、2019年度には、その誘導したMSCを褥瘡モデルマウスや変形性関節症のモデルマウスへ移植し、その効果を調べ、有効であることを明らかとした。加えて、その効果は以下のように由来が異なるMSC間で異なることが判明した。 1. 褥瘡モデルマウスでは、神経上皮由来のMSCが中胚葉由来のMSCよりも効果が高かった。2. 変形性関節症のモデルマウスでは、中胚葉由来のMSCが神経上皮由来のMSCよりも効果が高かった。2020年度は、両群の網羅的な遺伝子発現解析を行うと同時に、具体的には修復に関与するようなFactorの探索からその違いを説明できる分子機構の解明を行った。 結果と考察 網羅的遺伝子発現プロファイルを使った分泌因子の階層的クラスタリング分析は、PSP-MSCとRA-Pa-MSCの間の類似性があることが明らかなった。しかし一部の因子では、発現に差が見られた。qPCRによるmRNAの発現確認実験では、HGFおよびEGFは、RA-Pa-MSCよりもPSP-MSCで、より強く発現していた。対照的に、RA-Pa-MSCは、PSP-MSCよりもVEGF-AとbFGFを、より高く発現していた。 HGFとEGFは皮膚の創傷治癒に関与し、VEGF-AとbFGFは血管新生に関与する。これらの発現の差は、両者がなぜ疾患モデルにての有効性に差があったかを、都合よく説明できる。以上の結果から、MSCによる治療効果の差は、それぞれのMSCが発現している分泌因子の差異に基づいていることを示唆している。
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Research Products
(2 results)