2020 Fiscal Year Research-status Report
Biological roles of VNI2 forming complexes with various NAC domain transcription factors
Project/Area Number |
18K06277
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
山口 雅利 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (20373376)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | NACドメイン転写因子 / タンパク質相互作用 / 道管形成 / 葉の老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
NACドメイン転写因子であるVNI2は、道管要素分化の鍵因子であるNACドメイン転写因子VND7と相互作用する因子として単離されている。VNI2はVND7の転写活性を阻害することで、道管活性を負に制御する。VNI2は様々な細胞で発現しており、また塩ストレスや植物ホルモンなどによって発現が誘導されることから、道管形成以外の制御にも関与することが示唆されている。そこで、酵母2ハイブリッド法により、VNI2と相互作用する転写因子を探索したところ、30ものNACドメイン転写因子が単離された。本研究では、これらの候補相互作用因子との作用機構を通じて、VNI2の多面的な生物学的役割について明らかにすることを目的として取り組んでいる。 今年度はまず、単離している候補転写因子の中から、篩部形成に関与するNACドメイン転写群に着目して解析を進めた。相互作用解析により、複数の転写因子がVNI2と結合することが明らかとなった。これらの中から、下流遺伝子が報告されている転写因子に着目した。下流遺伝子のプロモーターにレポーター遺伝子を連結したコンストラクトを作成し、一過的発現解析を行ったところ、着目した転写因子は高い転写活性を有することを確認した。 VNI2と相互作用する因子として単離されたATAF2が、VNI2の発現を正に制御することを明らかにした。この結果は、ATAF2はVNI2を発現させることで、自らの転写活性を抑えるフィードバック制御を有することを示している。一方、VND7はVNI2の発現を負に制御することが明らかとなった。このことは、VNI2とVND7はお互いに機能を抑制し合う関係であることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、新型コロナの影響で、研究活動が大幅に制限されてしまった。そのため、特に植物体を使った研究が計画通り進まなかった。 一方で、VNI2が道管形成や葉の老化だけでなく、篩部形成にも関与する可能性が示唆されており、また、VNI2の発現抑制機構の存在も見出しており、今後につながる成果が得られつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
篩部形成に関与するNACドメイン転写因子群については、これまでに発現を制御するターゲット遺伝子が報告されている転写因子に着目し、一過的発現解析を行うことで、VNI2が複合体を形成することでどのような作用があるか検証する。また、発現パターンの比較や、形質転換体を用いた解析を行うことで、生理的な役割についても明らかにする。 VND7がVNI2の発現を抑制するメカニズムを明らかにするため、発現制御に重要なVNI2プロモーター領域を特定する。その上で、その配列を除いたコンストラクトを作成することで、抑制制御の重要性を明らかにしたい。 その他の相互作用因子郡についても、解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス の影響で、研究計画が滞ってしまったため。 基本的には、当初計画していた研究のための消耗品等に使用する。
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Research Products
(8 results)