2021 Fiscal Year Research-status Report
Biological roles of VNI2 forming complexes with various NAC domain transcription factors
Project/Area Number |
18K06277
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
山口 雅利 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (20373376)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | NACドメイン転写因子 / タンパク質相互作用 / 道管形成 / 葉の老化 / 篩管形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
NACドメインであるVNI2は、道管分化の鍵因子であるNACドメイン転写因子VND7と相互作用する因子として単離された。このVNI2は、相互作用することでVND7の転写活性を阻害し、その結果道管形成を負に制御する。また、酵母2ハイブリッド方による探索により、VND以外にも30ものNACドメイン転写因子がVNI2の相互作用因子として単離された。本研究では、VNI2と相互作用因子との作用機序を解析することで、VNI2の多面的な役割や活性制御機構を明らかにすることを目的として取り組んでいる。 今年度は、VNI2とVND7との作用機構について大きな成果が得られた。これまでに、VNI2の転写抑制活性に重要な領域として10アミノ酸の配列を同定した。そこで、VNI2を異所的に発現させることで、この配列の有無が植物の生育にどのような影響を及ぼすか詳細に解析を行った。その結果、10アミノ酸の配列の有無に関わらず、道管形成や植物体の生育を阻害する効果が見られた。ただし、10アミノ酸配列を含むVNI2を発現させることでより阻害効果が高まることを示すことに成功した。昨年度の研究実績において、VNI2と相互作用する老化に関与するNACドメイン転写因子ATAF2は、VNI2の発現を制御することを報告した。そこで、VND7も同様にVNI2の発現を制御するか検証した。その結果、興味深いことにVND7はVNI2の発現を負に制御することが明らかとなった。このことは、VNI2とVND7はお互いに機能を制御し合うこと、またVNI2の発現は相互作用因子によって、正、もしくは負に制御されることを示している。 VNI2と相互作用するNACドメイン転写因子の中で、篩部細胞形成に関与する因子に着目して解析を行なっている。プロモーターレポーターラインの解析により、VNI2と相互作用因子は、分化過程の篩部細胞において共発現していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、VNI2とVND7に関する成果をまとめることができた。本研究課題において見出した、VNI2と老化を制御するNACドメイン転写因子との作用機構に関しても、投稿の準備を進めている。さらに、VNI2と他の相互作用因子との解析についても、着実に成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
VNI2と老化を制御するNACドメイン転写因子との作用機構について投稿し採択させることが重要である。並行して、VNI2との篩管形成を制御するNACドメイン転写因子、およびVNI2タンパク質の安定性を制御する相互作用因子との作用機構についても、必要なデータを揃えて完成させる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で、時間を要する植物体の解析に支障をきたしたため、計画された研究の一部は完了できなかった。完了し切れていない研究の消耗品や、成果をまとめた論文の校正費や投稿掲載費等に使用する予定である。
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Remarks |
埼玉大学大学院理工学研究科 山口雅利研究室HP http://park.saitama-u.ac.jp/~myamaguchi/index.html
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Research Products
(9 results)