2019 Fiscal Year Research-status Report
クレブソルミディウムのTIR1を介さないオーキシン応答を誘導する転写因子の探索
Project/Area Number |
18K06280
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
堀 孝一 東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (70453967)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 植物進化 / 藻類 / クレブソルミディウム / オーキシン / 車軸藻類 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、先行研究において見出したオーキシンの初期応答遺伝子KnLBD1を指標とし、クレブソルミディウムのオーキシン一次応答に関与する転写因子の探索を行った結果、オーキシンの一次応答を引き起こす有力な候補転写因子を見出す事に成功している。 本年度は、複数のオーキシン早期応答遺伝子を同定し、前年度に見出した候補転写因子とオーキシンの初期応答との関連を解析する事を目指した。 まず、オーキシン早期応答遺伝子を探索するために、オーキシン添加後1時間におけるCAGE-seq行い2675万リードを得たが、約93%のリードがrRNAにマッピングされ、期待した精度の高いトランスクリプトーム情報は得ることができなかった。しかしながら、精度は低いものの30-40程度のオーキシン初期応答遺伝子の候補を得ることができた。この中から10遺伝子をピックアップしqPCRによって確認した所、8遺伝子においてオーキシンに応答していた。現在これらの遺伝子がオーキシン一次応答の候補転写因子に直接制御されているか、ベンサミアナタバコを用いたプロモーターアッセイにより確認を行っている。また、KnLBD1のプロモーターアッセイにより、オーキシン一次応答候補転写因子の結合場所の絞り込みを行った結果、プロモーター開始点から346 bpの範囲内にあることを明らかにした。 以上の結果により、KnLBD1以外のオーキシン初期応答遺伝子を決定や、オーキシン初期応答に関わる、より詳細なプロモーター領域の決定を達成することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はKnLBD1以外のオーキシン初期応答遺伝子の絞り込みやKnLBD1に存在するオーキシン初期応答遺伝子のより詳細なプロモーター領域を明らかにする事ができた。これらの結果はオーキシン初期応答にかかわる有力な転写因子候補が、どのように標的遺伝子を活性化しているか明らかにする上で有力な情報となる。一方でオーキシン応答の役割を解明するための形質転換法の確立に、他の藻類で成功した形質転換法を試みているが難航している。以上、全体としてクレブソルミディウムのオーキシン一次応答の解明に一歩踏み込むことができ、おおむね計画通り順調に進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、決定したオーキシン初期応答遺伝子に対する転写因子候補の作用をプロモーターアッセイにより引き続き解析し、オーキシン一次応答に関与しているかどうか実証を進める。また、クレブソルミディウムにおけるオーキシンの役割を解明する事も喫緊の課題である。したがって、機能解析のための形質転換系の構築など技術的な開発も達成する必要があるが、既知の藻類の形質転換法では、クレブソルミディウムの形質転換は成功していない。そのためにクレブソルミディウムの同調培養法の確立など、改めて基本的な培養法から見直し、本研究課題の達成を目指す。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルスによる日本植物生理学会の誌上開催への変更により、学会参加が行えなかった事、および実験の縮小、一時中断により試薬・消耗品の使用量が減少したために次年度使用額が生じた。そこで、次年度は他の学会の参加も行い、成果発表に努めると共に、実験再開後は研究を加速し中断による遅延を可能な限り低減させることを目指す。
|
Research Products
(2 results)