2020 Fiscal Year Research-status Report
クレブソルミディウムのTIR1を介さないオーキシン応答を誘導する転写因子の探索
Project/Area Number |
18K06280
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
堀 孝一 東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (70453967)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 植物進化 / 藻類 / クレブソルミディウム / オーキシン / 車軸藻類 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、陸上植物の側系統群であり、緑藻から陸上が出現する過程の早い段階で分岐した車軸藻類クレブソルミディウムのオーキシン一次応答に関与する転写因子の同定と機能解析を行う事により、陸上植物のオーキシン情報伝達がどのように成立したか新たな知見を得る事を目的とする。前年度までにオーキシンの一次応答を引き起こす転写因子の候補としてB3ドメインを保持する転写因子を同定し、オーキシン初期遺伝子LBD1の転写を活性化することを示している。本年度はこの候補転写因子がLBD1の他に、3つのオーキシン初期応答遺伝子に対しても転写活性化能を持つ事を確認した。したがって、この候補転写因子がクレブソルミディウムのオーキシン一次応答に関与する転写因子である可能性が極めて高いと考えられる。また酵母ツーハイブリッド法により、この転写因子はホモダイマーを形成する事を示した。 この転写因子の機能をより詳細に解析するために、クレブソルミディウムの遺伝子操作系の構築を試みているが、部分的なプロトプラスト化に成功したものの導入遺伝子の確認には至っていない。そのため各生物種のオルソログを探索した結果、同じドメイン構成をもつ転写因子は多くの陸上植物には存在していないが、車軸藻類に比較的保存されている他、ゼニゴケにおいても保存されていることを見出した。そこでゼニゴケオルソログをゲノム編集により破壊することを試み、一部の細胞において欠失が生じたモザイク変異株を取得した。現在、均質な変異株の単離を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、新型コロナウイルス感染症の影響のため、研究計画の実施に大きく遅延が生じた。しかしながら、本研究にて同定した転写因子がオーキシン一次応答に関与する転写因子である可能性が極めて高い事を示すことができた。さらに、機能解析に重要なゼニゴケオルソログの変異株の単離も進行しており、計画自体は順調に進行している。そのため実施計画を延長し、研究計画全体の達成を目指す。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度の遅延により達成が遅れているクレブソルミディウムのオーキシン一次応答に関与する転写因子の機能解析を達成するために、クレブソルミディウムの遺伝子操作系の構築とオーキシン一次応答に関与する転写因子破壊株の作成・解析を行う。また、ゼニゴケオルソログの変異株を単離し、オーキシン応答に関する表現型の解析を行う。以上により本研究課題の達成を目指す。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響のため、実験の一時中断により試薬・消耗品の使用量が大幅に減少した。また学会がオンラインによって行われたため、旅費は使用していない。以上により、次年度使用額が生じた。 研究計画の実施が大きく遅延したため実施計画を延長し、次年度使用額を用いて実施できなかった実験を推進し、研究課題の達成を目指す。
|
Research Products
(7 results)