2019 Fiscal Year Research-status Report
植物の光応答時の翻訳効率および翻訳開始点の変化についての解析
Project/Area Number |
18K06304
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
栗原 志夫 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 研究員 (60455342)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 光応答 / 翻訳変化 / 転写開始点 / 翻訳開始点 / リボソームプロファイリング |
Outline of Annual Research Achievements |
植物を暗所から光下に移したとき、多くの光応答遺伝子の転写開始点の位置が変化する。転写開始点の違いによって、mRNAの翻訳効率や翻訳開始点の位置が影響を受けることが示唆された。本研究では、シロイヌナズナ幼苗を暗所から青色単色光下に移したときにおこるmRNAの翻訳効率の変化とmRNA上の翻訳開始点の変化を検証することを目的とした。 これまでに、リボソームプロファイリングを行いゲノムワイドな翻訳の変化を調べた。その結果、多くの葉緑体関連の遺伝子やmicroRNA生合成遺伝子の翻訳効率が上昇することがわかった。さらに青色光照射によって、uORFによる翻訳抑制が軽減される遺伝子を5つ発見した。以上の成果を国際学術誌である Plant Cell Physiol.において原著論文として発表した。さらに関連した研究成果を国際学術誌 Int J Mol Sci.において原著論文として発表した。 植物では、細胞抽出液内で翻訳マシーナリーがうまく働かないことが示唆された。そのため、翻訳開始点を明らかにするためにリボソームを翻訳開始点停止することができる薬剤の植物への処方方法等を検討し、有効な方法を確立することができた。具体的にはラクチミドマイシンとハリングトニンの二つの薬剤を試したところ、ハリングトニンを処理した幼苗にて良好な結果を得た。そこでは、およそ半数程度の遺伝子においてリボソームの大多数が翻訳開始点にて停止していることが確認できた。 現在、データから翻訳開始点を抽出する計算機上での解析方法の検討を行うのと同時に、ハリングトニンを用いたリボソームプロファイリングによって作製したライブラリをシークエンスしているところである。今後、得られるデータから青色光照射による翻訳開始点の変化と転写開始点との関係を決定していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
翻訳開始点を明らかにするために、翻訳開始阻害剤を用いてリボソームを翻訳開始点のみに停止させなければならない。植物では、細胞抽出液内で翻訳マシーナリーがうまく機能しないことが示唆された。リボソームを翻訳開始点のみに停止させる別の処理方法を検討する必要があったため、遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、リボソームを翻訳開始点に停止させる代替手法を確立することができたため、それを用いて本研究の遂行を目指しているところである。
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Causes of Carryover |
実験手法の最適化の検討を行ったため、計画に遅れが生じた。残予算と翌年度助成金を合わせて、翻訳開始点を同定するリボソームプロファイリングを行う。
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