2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K06311
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
玉置 大介 富山大学, 学術研究部理学系, 助教 (20793053)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 紡錘体 / 微小管 / 双極性 / 植物細胞 / 細胞分裂 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度確立した分裂中期のプロトプラストの単離方法用いて, 中期プロトプラストを回収し, プロテオーム解析およびGO解析を行なった. その結果,N. tabacum 植物体のプロテオームの解析結果と比べて,細胞骨格関連タンパク質や,核酸結合タンパク質の全体に占める割合が高くなった. このことから, 本研究により確立した方法は, 紡錘体形成に関与するタンパク質を得る手段として有効であると考えられた. また,ISSでの宇宙実験を念頭において, 重力の大きさの変化が双極性紡錘体の形成に与える影響についても解析を進めた. ISSでの宇宙実験を行うためには, サンプルの引渡しからISSでの培養再開まで4週間以上の長期低温保存が可能であること,加えて,同一の細胞を観察し続けられること等の要求があり,まず,これらを満たす新たな培養系の確立を試みた. ibidiディッシュの底面にタバコ培養細胞BY-2株の核・微小管可視化株を貼り付け,その上にゲランガムの固体培地を載せ,暗所で4℃保存した.その後,1週間ごとの低温処理後に写真を撮り,25℃で培養し,細胞分裂が再開するかを確認した.その結果,4週間の低温処理後でも再培養後に細胞分裂が確認できた.また,この培養系で培養したタバコ培養細胞について共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察した結果,紡錘体を明瞭に観察することができた.従って,「きぼう」実験棟での宇宙実験でも同様の観察ができると考えられる. 次に, 重力の大きさの変化により発現が制御される紡錘体形成関連因子の同定を目的とし,100 G条件下で培養した野生型のタバコ培養細胞BY-2株のカルスからタンパク質を抽出し,プロテオーム解析を行った. その結果,過重力により800個以上ののタンパク質の発現に変化が見られ,そのうち細胞周期と細胞骨格に関連するタンパク質は20個以上含まれていた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
プロテオーム解析を中心とした実験計画は進めることができたが, 新型コロナウイルスの感染拡大により研究活動が制限され, 当初予定していた Minispindle内での動的微小管の束化の解析と安定微小管が新規の動的微小管の形成の足場となっているか否かの解析については成果を得ることができなかった. そのため補助事業期間延長申請を行なった.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は, 本年度成果を得ることができなかったEB1・微小管可視化株用いたMinispindle内での動的微小管の束化の解析,蛍光免疫染色法を用いた安定微小管が新規の動的微小管の形成の足場となっているか否かの解析を行う. また次年度も, ISSでの宇宙実験を念頭において, 重力の大きさの変化が双極性紡錘体の形成に与える影響についても解析を進めていく.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大により研究活動が制限され, 研究計画が予定通り進められなかったため, 受領額全てを使用することができなかった. そのため補助事業期間延長申請を行なった. 延長申請により生じた次年度使用額は, 本年度に成果を得ることができなかったMinispindle内での動的微小管の束化の解析, 蛍光免疫染色法を用いた安定微小管が新規の動的微小管の形成の足場となっているか否かの解析, 加えて, 重力の大きさの変化が双極性紡錘体の形成に与える影響についての解析に関わる消耗品, 試薬の購入等に使用する予定である.
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Research Products
(2 results)