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2020 Fiscal Year Research-status Report

抗微生物、細胞障害、細胞膜透過-ヒストンが配列内に秘めた多様な作用とその活用

Research Project

Project/Area Number 18K06319
Research InstitutionToho University

Principal Investigator

岩室 祥一  東邦大学, 理学部, 教授 (70221794)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 小林 哲也  埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (00195794)
菊山 榮  早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 名誉教授 (20063638)
蓮沼 至  東邦大学, 理学部, 准教授 (40434261)
中野 真樹  信州大学, 医学部, 研究員 (20646195)
Project Period (FY) 2018-04-01 – 2022-03-31
Keywordsヒストン / 細胞膜透過ペプチド / NF-κB / NBD / ELEBA / エンドトキシン / サドガエル / 抗菌ペプチド
Outline of Annual Research Achievements

本年度は、①ヒストンH2Bのもつ細胞膜透過能の解析、②ヒストンH4及びH4由来のペプチドの抗菌性と細胞毒性の検証、③ヒストンH1の細胞毒性の検証、④ヒストン群タンパク質を含む抗菌タンパク質・ペプチドのエンドトキシン結合能の検出系の確立、の4つの研究を行った。
①ヒトヒストンH2B中の部分配列をもつ合成ペプチドを用いて、真核細胞の細胞膜透過を示す領域をいくつか特定した。これら細胞膜透過ペプチドを用いた細胞内への機能送達を目的に、炎症性転写因子であるnuclear factor (NF)-κBの核移行を抑制する作用を有するNEMO-binding domain (NBD) のアミノ酸配列をペプチドに付加して細胞に導入し、炎症誘導因子であるリポ多糖 (LPS) で刺激した。その結果、NF-κBを介したLPS依存的な遺伝子発現を行う炎症性応答因子の発現抑制効果を確かめることができた。
②全長H4の抗菌活性は検出できたが細胞毒性は検出されず、また全長H4を5分割した配列をもつペプチドについては、明確な抗菌活性が検出できなかった。
③ヒストンH1の生物種間でのアミノ酸配列の変異が激しいことを踏まえ、ウシ由来の市販ヒストンH1の抗菌活性と細胞毒性を検証した。その結果、有意な抗菌活性は検出されたが細胞毒性は低いことが明らかとなった。
④マイクロプレートに固相化した抗菌タンパク質・ペプチドとビオチン標識したエンドトキシン(LPS、リポテイコ酸)との結合を定量的に検出可能とするEnzyme-linked endotoxin binding assay (ELEBA)法を開発した。この方法を用いて、ヒストンH3の全長を4分割した配列をもつペプチドやヒストン混合物などヒストン関連物質や、サドガエル皮膚から発見した抗菌ペプチドとエンドトキシンの結合能を定量的に示すことができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

コロナウイルス感染症の影響を大きく受け、研究室の滞在人数や滞在時間の制限が厳しく、これまで得た成果に上積みを行うための新たな実験系の発展が困難であった。また、安全対策に必要な手袋・マスクや、汎用的なプラスチック実験器具などの入手に想定外の時間がかかった。これらの事情により、過年度の実験結果の再現性の確認の実験を多くせざるを得なかったことに加え、発表を予定していた関係学会がことごとく次年度への移行もしくはオンラインのみでの開催となり、代表者・分担者ともに発表を控えたことから、成果発表をほとんどできなかったため、この評価とした。

Strategy for Future Research Activity

本研究が最も主としているヒストンH3分子のアミノ酸配列依存的な抗菌活性と細胞毒性の解析については、論文執筆に必要なデータがほぼ出揃った状態であるので、論文執筆と学会発表を中心に展開して行く予定である。
ヒストンH4の全長を5分割したペプチドの抗菌活性と細胞毒性を前年度に引き続き今年度も検証したが、予想に反し既報と比較し微弱な作用しか検出されず、前年度とほぼ同じ結果となったことから、ヒストンH4ならびに由来するペプチドについては病原体や哺乳類の細胞に対する直接的な作用は低いという結論に立ち、それぞれのエンドトキシン結合能や炎症性サイトカインの発現調節への関与を検証する実験に転ずる。
NBD配列を付加したヒストンH2B由来配列をもつ細胞膜透過ペプチドによる炎症性サイトカインの発現抑制の研究については、NBDが細胞質のNF-κB essential modulator (NEMO) と結合し,inhibitor kappa Ba (IκBa) kinase βとの会合を阻害することによると考えられていることから,NF-κBやIκBaの細胞質・細胞核内での動態をWestern blot法や免疫染色法で検証する。

Causes of Carryover

コロナウイルス感染症拡大の世界的な影響は未だに大きいが、1年前よりも研究を行う環境は改善されつつある。貴重な研究費を期限までに無理に使用したり、結果を急ぐことよりも、1年の延長を行うことにより、これまで得た成果の裏付けを行う実験を行うとともに、学会や論文による成果発表のための仕切り直しを行うこととした。研究費は主に執筆原稿の英文校正とオープンアクセスの費用とし、実験に使用する器具や試薬は前年度までに購入したものを使用する予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2020 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Antimicrobial Property and Mode of Action of the Skin Peptides of the Sado Wrinkled Frog, Glandirana susurra, against Animal and Plant Pathogens2020

    • Author(s)
      Ogawa D, Suzuki M, Inamura Y, Saito K, Hasunuma I, Kobayashi T, Kikuyama S, Iwamuro S.
    • Journal Title

      Antibiotics (Basel)

      Volume: 9 Pages: 457

    • DOI

      10.3390/antibiotics9080457

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Remarks] その壁を突き抜けろ! -細胞膜透過ペプチドの話-

    • URL

      https://www.toho-u.ac.jp/sci/bio/column/0819.html

URL: 

Published: 2021-12-27  

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