2020 Fiscal Year Research-status Report
Physiological analysis of the courtship pheromones in both sexes: a study of the molecular mechanism of mate selection in newts.
Project/Area Number |
18K06321
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
中田 友明 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 講師 (50549566)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | フェロモン / ソデフリン / アイモリン / イモリ / 両生類 / 性行動 / 配偶者選択 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ほぼ全期間を通じて新型コロナウイルスの世界的な流行によって多大な研究活動への影響があった。 具体的には、所属機関による実験動物(アカハライモリ)採集などの都道府県間での移動を含む研究計画の禁止、新規動物実験開始を見送り要請があり、生体を用いた実験計画が遂行できなったこと、学務・教務等が遠隔化され遠隔講義・遠隔会議等の体制作成に多大な時間を要したことなどによって、当該研究を計画通り遂行することが困難であった。 一方で実際に実験を行えなかった機関中、これまで試みていなかったゲノム編集技術を用いたフェロモン応答の分子・細胞レベルでの高解像度な解析を行う着想を得て、現在CRISPR-Cas9システムを用いた遺伝子組換え動物の作成に着手することができた。また、生体研究が行えない期間中、在宅勤務などを利用しこれまでの成果をまとめ、学術誌に投稿するための準備をする、すでに採取していた脳組織中のフェロモン応答神経系を解析するなどしたが、実験計画に比して進捗に遅れがあり、当科学研究費使用年度の延長手続きをし、次年度中に本課題研究に記された全ての研究を遂行することを計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究では、対象動物であるアカハライモリの繁殖期(2月~5月上旬)にかけて生殖行動に関わるフェロモンに関する実験を多数企画していたが、令和2年以降、新型コロナウ イルスの世界的な流行に伴う、東京都における非常事態宣言の発令、それにとなって所属機関より実験動物の飼養数の削減・新規実験の延期等が要請されたこと、実験動物の採集など都道府県間の移動を含む実験計画の遂行が不可能になったこと、講義・会議の遠隔化に伴う学務・教務上での対応に追われ研究時間を十分位確保できなくなったことなどが理由で、ほとんど全ての新規実験が計画・施行されない状況となってしまったためである。 ただし、現在では対新型コロナウイルス蔓延防止対策が定まり、実施されてる状況となったため、学務・教務・研究における同ウイルス感染症の蔓延に伴う、本課題研究遂行上の影響を最小限度に抑え、研究続行が可能な状況となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの世界的な流行による、研究活動停止期間を含む一昨年度以降、在宅勤務などを利用しこれまでの成果をまとめ、学術誌に投稿するための準備をするなどしたが、実験計画と進捗に遅れがあり、社会的状況の改善された後に速やかに遅れを取り戻す準備をしてきた。具体的には、現在までにこれまでの成果論文の投稿、トランスクリプトーム解析(RNA-sequence)などで得られたデータなど、在宅勤務中にコンピューターを用いて処理可能なデータについて解析を進め、次年度生体実験が再開可能となった際に速やかに施行できるようにしている。 具体的には、作成した成果論文の投稿を行うとともに、所属機関で再開可能となった生体実験において、イモリ性フェロモン(ソデフリン・アイモリン)受容体の同定、性行動を司る嗅覚コミュニケーションに対する内分泌学的調節機構に迫ってゆく予定である。 令和3年度は、本課題研究の延長年度に当たるため、これまでのデータを統括的に取りまとめ、雌雄の性フェロモンによる繁殖コミュニケーションの分子・ 細部レベルの解析を通じて、種の存続や生殖隔離や種分化すら左右しうる生殖行動の分子メカニズムの解明が有尾類から発展することに大きな期待を持って、今後も研究を継続して行きたい。
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Causes of Carryover |
2020年度の初頭以降、COVID19の世界的感染拡大のため、研究の繁忙期に当たるイモリの繁殖期にも関わらず、動物飼養施設を含む研究室への立ち入りが制限、繁殖場での調査や動物の確保が不可能であり、長期間研究を停滞せざるを得ない状況であったため次年度使用額が生じた。実験動物等の消耗品や論文投稿料として使用する予定である。
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