2018 Fiscal Year Research-status Report
色素体とミトコンドリアの分裂装置の形態構造と分子動作機構の解明
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18K06325
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
茂木 大和 (吉田大和) 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 助教 (80785444)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ミトコンドリア分裂増殖 / 葉緑体分裂増殖 / ライブセルイメージング / 原始真核生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では申請者がこれまでに確立した「原始真核生物からのミトコンドリアと葉緑体の分裂装置の単離」(Yoshida et al. 2017 PNAS)や「ミトコンドリア・葉緑体分裂装置の人工合成」(Yoshida et al. 2016 Nature Plants)といった手法を基盤とし、ミトコンドリア・葉緑体分裂装置のプロテオミクスによって同定された全12個の候補遺伝子群の機能解析や、超解像イメージングによるミトコンドリアと葉緑体の分裂装置の構造のナノレベル構造解析を目標とし、研究を推進した。この結果、全12候補遺伝子のうち5遺伝子に関しては抗体を作製することに成功し、解析を進めている。このうち少なくとも4つの遺伝子に関してはオルガネラ分裂に重要な役割を担っていることが分かっており、論文投稿に向けて準備を進めている。また超高輝度蛍光タンパク質を分裂遺伝子に導入した細胞株を確立し、実際に蛍光タンパク質によってライブイメージングが可能な分裂装置を使ったin vitro解析を実行した。既に分裂装置の分子動作機構に関して、多数の重要な知見が得られており、こちらも論文投稿に向けて、さらに詳細な解析を継続している。該当年度の研究活動の結果、学術論文を3報発表し、学術賞を1件受賞するに至った。 【原著論文(査読あり)】 *Yoshida, Y. (2018) J. Plant Res. *Yoshida, Y. and Mogi, Y. (2018) Microscopy *Yoshida, Y., Taniguchi, Y. (2019) Cytologia
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度は、当初計画していた候補遺伝子群の抗体作製が順調に進展しており、5個の遺伝子に関するポリクローナル抗体の作成に成功したほか、アフィニティー精製まで完了することが出来た。また蛍光タンパク質タグを融合した分裂遺伝子をシゾン細胞へ形質転換することに成功し、ライブセルイメージングによって重要なデータを得る体制が整った。顕微鏡システムの構築も順調に進んでおり、原始真核生物シゾンを用いた42度でのライブセルイメージングによって、細胞分裂過程を詳細に解析することに成功した(Yoshida and Mogi, Microscopy 2018)。また、同顕微鏡システムを用いたRNAイメージングを基盤として、シングルセルトランスクリプトーム解析を実行した結果、ヒト培養細胞におけるミトコンドリア分裂・融合遺伝子の一細胞内での発現動態を詳細に解析することにも成功した(Yoshida and Taniguchi, Cytologia 2019)。
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Strategy for Future Research Activity |
研究プロジェクト二年目は、初年度に構築した蛍光タンパクタグを解析対象遺伝子に付加してある形質細胞株を用いて、ミトコンドリアと葉緑体の分裂増殖過程の詳細なライブイメージング解析に着手する。また初年度に作成した各分裂候補遺伝子のアフィニティー精製ポリクローナル抗体を用いて新規分裂遺伝子の機能解析を開始する。現在までに二つの候補遺伝子の細胞内局在とタンパク発現解析が進んでおり、良好な結果を得ている。これらの解析対象遺伝子に関しては、今年度中(プロジェクト二年目)に詳細な機能解析の完了を目標とし、国際誌への発表を目指す。 上記研究の推進方策の他、初年度に発表したRNAイメージングを活用し、一細胞内でのミトコンドリアと葉緑体分裂遺伝子のRNA発現動態を一分子分解能で解析する他、超解像イメージングによる分裂装置の微細構造解析を試みる。 さらに残りのオルガネラ分裂候補遺伝子群に関しても、ポリクローナル抗体作製と共に蛍光タグを導入した細胞株の確立を進め、順に解析スキームへと追加する予定である。
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Causes of Carryover |
計画当初、想定していたよりもオリゴDNA合成に掛かる費用が少額で済んだため、次年度使用額6641円が生じた。計画二年目は、分子生物学実験において様々な条件検討などを行う必要があると想定されるため、次年度使用額6641円も試薬購入費として充てることで、より効率よく解析を進める予定である。
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Research Products
(6 results)