2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K06327
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒川 大輔 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (40342779)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 一年魚 / 発生休止 |
Outline of Annual Research Achievements |
東アフリカの明瞭な雨期乾期がある地帯の季節性を持って干上がる沼地に生息する一年魚(Nothobranchius Korthausae)は、雨季に生じる沼で成長・産卵をし、乾期になると親個体は死んでしまうが、その卵は干上がった沼の泥中で発生休止状態で過ごし、次の雨季が来ると発生を再開させる。これまでその分子メカニズムがあまり解析されていない 脊椎動物の発生休止を解析し、このような機能が、通常の胚発生をする近縁種からどのように進化してきたか理解することを目指して研究を行なっている。 2020年度は、前年度までに行った発生休止胚と発生中の胚のトランスクリプトームの比較により、発生休止に関わる可能性がある遺伝子の欠失突然変異体を、CRISPR/Cas9によるゲノム編集により作出した突然 変異体ホモ接合体において発生休止にどのような変化があるかを解析している。ゲノム編集により、突然変異の導入は認められたが、突然変異を導入した系統は維持が難しく、解析に十分量のホモ接合体を得るに至っていない。現在、これらの突然変異体がなぜ脆弱なのか?ヘテロでも表現系を示すのか、等の可能性を検討中である。 また、発生休止に伴う細胞周期の変化を解析するためにHistonH2B-EGFP, Fucciトランスジェニック系統を樹立して発生休止に伴う細胞分裂周期の動態を共焦点レーザー顕微鏡を用いたタイムラプス観察を行なっている。これらの研究に関しては長時間の観察において卵が動いてしまうという課題があったが、低融点アガロースに埋め込むなどの工夫によって固定することには成功し、正常発生についてはタイムラプス画像を得ることができている。現在は、休眠誘導時や休眠から覚醒する際にどのような細胞周期の変化が見られるのかを観察して本年度中に発表したい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
【研究実績の概要】に述べたとおり、突然変異体の継代が難しい。昨年度、上半期の大学のロックダウンも伴って、表現系の評価について確定的な結果を得ることができていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
突然変異体の表現形解析をさらに進め、これまで得られたトランスジェニック系統のタイムラプス観察と合わせて、最終年度である今年度中にデータをまとめて論文発表目指す。
|
Causes of Carryover |
[理由]「現在までの達成度」に述べた実験の遅延に伴い、引き続き実験を行うためのトランスジェニック系統 突然変異系統の維持。
(使用計画) 実験終了までトランスジェニック/突然変異体系統を維持し、それらの解析に用いる。
|