2021 Fiscal Year Research-status Report
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18K06327
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒川 大輔 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (40342779)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 一年魚 / 発生休止 / 細胞分裂 |
Outline of Annual Research Achievements |
東アフリカの明瞭な雨期乾期がある地帯に生息するNothobranchius属魚類は、雨季に生じた水溜まり中で成長して成魚となり産卵に至る、乾季が訪れ、水が干上がると成魚は死んでしまうが、卵は泥中において発生を停止した状態で過ごし、次の雨期が来ると発生を再開して孵化・成長し、その後、産卵をする一年サイクルの生活史をもち一年魚と呼ばれる。このような発生に対する悪条件を発生停止状態でやり過ごす現象を発生休止(Diapause)と呼び、脊椎動物を含む、さまざまな動物群でそれぞれの環境ストレスに応答して発生休止が生じることが報告されているが、その分子メカニズムについてはあまり解析されていない。本研究では、実験室で簡単に維持できる一年魚、Nothobranchius korthausaeをモデルとして、脊椎動物の発生休止の分子メカニズムを解析し、それが通常の胚発生をする近縁種から如何にしてに進化してきたか理解することを目指している。 2021年度は、これまでの研究で見つかった発生休止に関わる可能性がある遺伝子の欠失突然変異体を、CRISPR/Cas9によるゲノム編集により作出して、突然変異体ホモ接合体において発生休止にどのような影響があるかを評価し、発生休止に係る機能を解析していた。2022年度も引き続き解析を続ける予定である。 また、発生休止に伴う細胞周期の変化を解析するために細胞分裂期の細胞核は緑、分裂間期のそれは赤の蛍光タンパク質を発現するFucciトランスジェニック系統を樹立・維持し、共焦点レーザー顕微鏡によるタイムラプス観察を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
導入したN.korthausaeの野生株が継代を繰り返したせいか、矮小化・脆弱化が起こり、維持が難しい。 現在、新しい系統の導入による立て直しを試みている。またゲ ノム編集により、突然変異の導入は認められたが、突然変異を導入した系統も維持が難しく、解析に十分量のホモ接合体を得るに至っていない。現在、これらの 突然変異体がなぜ脆弱なのか?ヘテロでも表現系を示すのか、等の可能性を検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
【現在までの進捗状況】に述べたような問題点の改善に努めることにより、突然変異体と蛍光タンパク質を発現するトランスジェニック系統を立て直し、解析を進める。
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Causes of Carryover |
[理由]「現在までの達成度」に述べた実験の遅延に伴い、引き続き実験を行うためのトランスジェニック系統 突然変異系統の維持。 (使用計画) 実験終了までトランスジェニック/突然変異体系統を維持し、それらの解析に用いる。
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