2018 Fiscal Year Research-status Report
概日時計-生理機能連関におけるREV-ERBα/βの細胞内制御機構
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18K06338
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
土谷 佳樹 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30456777)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 概日リズム / 核内受容体 / 転写フィードバックループ |
Outline of Annual Research Achievements |
核内受容体 REV-ERBα, REV-ERBβは代謝や免疫機能、神経機能などの様々な生理機能に関わる遺伝子の発現を制御する転写制御因子である。その発現には明瞭な概日リズムが見られ、概日リズム自体の形成にも関わる重要因子であると考えられている。しかし、REV-ERBα単独欠損の解析は多く報告されているが、REV-ERBα/β の二重欠損は個体での致死性が報告されており、REV-ERBβも含めた機能欠損の影響は詳しく調べられていない。本研究ではマウスES細胞を用いて REV-ERBα/βの二重欠損ES細胞を作製し、REV-ERBα/βによる概日時計および細胞生理機能の制御機構を解明することを目的とする。特に、REV-ERBα/βの概日時計の発振機構および出力系における役割に着目し、細胞内で概日リズムを様々な生理機能へとつなぐ鍵因子としての役割を明らかにする。初年度はCRISPR/Cas9システムによって作出したREV-ERBα/βの二重欠損ES細胞を分化させた系を用いて概日リズム解析を行った。分化28日後にデキサメタゾン処理により概日リズムを同調させ、経時的なRNAサンプルの調製を行い、RNA-seqによる網羅的遺伝子発現解析を行った。その結果、発現振動を示す遺伝子セットが野生型とREV-ERBα/β二重欠損株で大きく異なっていた。一方で、Per2 Cry1などの時計遺伝子のmRNA発現リズムは野生型とREV-ERBα/β二重欠損株で同等であった。これらの結果は、REV-ERBα/βの概日時計出力系としての機能の重要性を示していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CRISPR/Cas9システムによって作出したREV-ERBα/β二重欠損ES細胞を胚様体形成法により分化させた後、経時的サンプルを用いた網羅的遺伝子発現解析を予定通り行い、データを得ることができた。発現リズムを示す遺伝子群の変化から、REV-ERBα/βの概日時計出力因子としての重要性が示唆された。データセットのさらなる解析からREV-ERBα/β標的遺伝子についての新たな知見が得られることも期待される。また、REV-ERBα/β二重欠損によってPer2などの時計遺伝子の発現リズムに大きな影響は見られなかった。このことは、REV-ERBα/βが概日時計形成に必須ではなく、むしろ出力系として重要な働きを担っていることを示唆している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は網羅的遺伝子発現解析で得られたデータ解析から、REV-ERBα/βが下流の遺伝子発現を概日性に制御するメカニズムを明らかにしたいと考えている。直接的な制御あるいは他の転写因子を介した制御など、REV-ERBα/βによる遺伝子発現制御機構の可能性を探る。さらに、神経などへ分化の方向付けを行ったときの遺伝子発現リズムについて、野生型とREV-ERBα/β二重欠損株との差異を明らかにし、組織特異的なREV-ERBα/βの機能を調べる。
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Causes of Carryover |
今年度の使用は主にRNA-seq解析にかかる費用であったが、予定より負担額が少なかった。残額は次年度以降の分子生物学的解析に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Cell-based screen identifies a new potent and highly selective CK2 inhibitor for modulation of circadian rhythms and cancer cell growth.2019
Author(s)
Oshima T, Niwa Y, Kuwata K, Srivastava A, Hyoda T, Tsuchiya Y, Kumagai M, Tsuyuguchi M, Tamaru T, Sugiyama A, Ono N, Zolboot N, Aikawa Y, Oishi S, Nonami A, Arai F, Hagihara S, Yamaguchi J, Tama F, Kunisaki Y, Yagita K, Ikeda M, Kinoshita T, Kay SA, Itami K, Hirota T.
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Journal Title
Science Advance
Volume: 23
Pages: eaau9060
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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