2018 Fiscal Year Research-status Report
視交叉上核による室傍核領域の概日振動制御機構の解明
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18K06340
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
升本 宏平 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (60580529)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 神経連絡 / 軸索伸長 / 体内時計 / 視交叉上核 / 室傍核 |
Outline of Annual Research Achievements |
室傍核領域は哺乳類体内時計の中枢である視交叉上核の背側部に隣接し、視交叉上核からの投射が存在する。しかしながら室傍核領域の概日振動が視交叉上核によってどのように制御されているのか未だ明らかにされていない。 これまでに申請者が独自開発した“移植培養系での振動再構成”によって、視交叉上核から室傍核領域への時刻情報伝達には神経連絡が必要であることがわかった。また時刻情報伝達物質の探索を進め、GABAをその候補として研究を進めてきた。 これまでの研究で、培養下の組織にGABA受容体のアゴニスト、アンタゴニストの投与を行うと室傍核領域および視交叉上核における概日振動へ影響を与えることがわかった。また細胞内クロライド濃度を変化させるのに重要なトランスポーターを抑制したところ、視交叉上核と室傍核領域における概日振動の位相差に影響を与えることがわかった。 2018年度は所属を変更したので、それに伴い新たに実験系を構築する必要が生じた。そのため実験系を立ち上げやすい免疫染色を主体として研究を行った。“移植培養系での振動再構成”において、移植に新鮮な視交叉上核を用いると振動は回復するが、培養後数週間経過した視交叉上核では回復しない。これらの場合においてGABAの発現がどのようになっているのか確認するために、GABA合成酵素抗体を用いた免疫染色を行った。その結果、新鮮な視交叉上核と培養後数週間経過した視交叉上核の間に差が認められた。また、GABA以外の時刻情報伝達物質の候補探索を、申請者らの研究で得られた脳51領域の網羅的遺伝子発現解析データベース(http://brainstars.org/)を参照して行った。免疫染色を行うことにより、候補としてピックアップした因子のいくつかが室傍核領域、視交叉上核で実際に発現していることを確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では視交叉上核がどの様に室傍核領域の概日振動を制御しているのかを明らかにするために、主としてGABAを介した時刻情報伝達について検証を行い、将来的には昼行性、夜行性のメカニズムを解明することを目指している。そのため、組織培養系における検証および生体マウスにおける検証の2方向からアプローチを計画していた。しかしながら、2018年度に所属を変更し研究環境が大きく変わってしまったため、新たに実験系を立ち上げる必要性および当初の計画を見直す必要性が生じた。 組織培養系における検証において、発光測定系を必要とする実験は機器および遺伝子改変動物の導入が遅れたので推進することができなかった。しかしながら室傍核領域と視交叉上核の移植培養後、概日振動が回復する条件、回復しない条件において免疫染色を用いることにより、どのような因子がどのような状態にあるかということを形態学的に明らかにすることができ、一定の進捗をみることができた。またGABA関連の検証を進めるとともに、時刻情報伝達物質がGABA以外の可能性があることを考慮して、その候補探索を申請者らの研究で得られた脳51領域の網羅的遺伝子発現解析データベースを用いて進めた。そして免疫染色を行うことで、生体マウスにおける候補物質の形態学的情報を得ることができた。しかしながら、行動測定システムを導入できなかったので生体マウスにおける検証はこれ以上進捗させることができなかった。 以上のことから総合的に判断して本研究は予定よりやや遅れていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
所属変更にともなって研究環境が大きく変わった。発光測定系および生体マウスの行動解析系の導入を行う必要があるが、これらの導入にはまだ時間を要する見込みである。そこで、今後は形態学的手法を主として研究を推進していく。 GABAおよびGABA関連因子の室傍核領域における概日振動に関する影響については、移植培養後に概日振動が回復する条件、回復しない条件で免疫染色を行うことで形態学的情報を得ていく。また培養組織を用いるとともに、生体マウスへの薬剤投与を試みる。その後、サンプリングを行いin situ hybridization法および免疫染色を行うことによって概日振動への影響を検証する。同様に、GABA以外の時刻情報伝達物質としてピックアップした因子についても解析を進めて行く。室傍核領域と視交叉上核の概日振動の位相差および周期の他に、概日振動の安定性についても着目し、形態学的手法を用いながら解析を進めていく。脳51領域の網羅的遺伝子発現解析データベースを用いた新たな時刻情報伝達物質の候補検索と検証も引き続き行っていく。
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Causes of Carryover |
所属を変更したため、研究環境が大きく変更してしまい、それに伴い新たに実験系を立ち上げる必要性が生じた。新しい所属先では保有している研究機器が前所属先と大きく異なっており、そのため組織培養よりも免疫染色を主体とした研究を行わざるを得なかった。高価な消耗品を使用する組織培養を行う機会が減少した結果、消耗品の使用量が予定より少なくなった。また研究に用いる遺伝子改変動物の導入が遅れていることも、組織培養を行う機会が減少した要因である。所属変更による研究計画の見直しにより、購入予定であった解析機器の導入を見送ったことも次年度使用額が生じた理由である。 繰越分は次年度において、培養、免疫染色に必要な消耗品費、マウス、研究機器の購入費に充てる。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Muscarinic Acetylcholine Receptors Chrm1 and Chrm3 Are Essential for REM Sleep2018
Author(s)
Niwa Yasutaka、Kanda Genki N.、Yamada Rikuhiro G.、Shi Shoi、Sunagawa Genshiro A.、Ukai-Tadenuma Maki、Fujishima Hiroshi、Matsumoto Naomi、Masumoto Koh-hei、Nagano Mamoru、Kasukawa Takeya、Galloway James、Perrin Dimitri、Shigeyoshi Yasufumi、Ukai Hideki、Kiyonari Hiroshi、Sumiyama Kenta、Ueda Hiroki R.
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 24
Pages: 2231~2247.e7
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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