2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K06353
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 貴富 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任講師 (30451850)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 減数分裂期組換え / クロマチン / 染色体構造 / ヒストン |
Outline of Annual Research Achievements |
真核生物の染色体DNAがヒストンタンパク質とともに形成する複雑な3次元(高次)構造はほぼ全てのDNA関連現象を制御する。配偶子の形成に重要な減数分裂期相同組換えは、「軸・ループ構造」と呼ばれる減数分裂期染色体に特異的な高次構造中において、ループ中に存在するホットスポットにおいて頻発する。しかし、軸・ループ構造の形成機構や組換え反応の詳細には不明の点が多い。本研究では分裂酵母を用いて、まず軸・ループ構造の構成要素とその染色体結合様式を明らかにする。また、申請者は染色体高次構造の制御への関与が指摘されているヒストンH2A.ZとヒストンH3リジン4(H3K4)メチル化酵素Set1が、減数分裂期組換え開始を促進する証拠を得ているので、これらの組換えにおける役割を明らかにする。今年度の進行状況は以下の通りである。 軸構成因子群の染色体結合を調べたところ、それらの相互依存性や階層性などが認められた。これらから軸の形成過程に関わる手がかりが得られるとともに、前年度発見したホットスポット間で見られる組換え制御機構の差異を理解できるのではないかと考えている。また、Set1の組換え開始における役割を調べる目的でH3K4の変異体を複数構築して表現型を調べた結果、この残基が組換えを複雑に制御することがわかった。 一方で、当初予定していたTwo-Hybridスクリーニングでは、使用予定であったライブラリに不具合が見つかった。そこで別の遺伝学的スクリーニングに手法を変更し、そのためのライブラリを共同研究者から入手し、増幅した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
軸構成因子の相互作用について比較的詳細なことがわかってきたことやH3K4の変異体での知見が得られてきた。これらから軸の形成機構についてのモデルをいくつか検討している。Two-Hybridスクリーニングの困難は想定外ではあったが、迅速に次善策に着手できている。
|
Strategy for Future Research Activity |
残りの期間でSet1やH3K4についての解析を進める。これと今年度までに得られた知見を総合して、軸ループ構造の形成と同構造による組換え開始制御についての論文を投稿したい。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大により、研究活動が停止した時期が生じたことと、参加予定だった学会への出張(複数)が中止になったため。
|