2022 Fiscal Year Research-status Report
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18K06353
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Research Institution | Kamakura Women's University |
Principal Investigator |
山田 貴富 鎌倉女子大学, 家政学部, 准教授 (30451850)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 減数分裂期組換え / クロマチン / 染色体構造 / ヒストン |
Outline of Annual Research Achievements |
真核生物の染色体DNAがヒストンタンパク質とともに形成する複雑な3次元(高次)構造はほぼ全てのDNA関連現象を制御する。配偶子の形成に重要な減数分裂期相同組換えは、「軸・ループ構造」と呼ばれる減数分裂期染色体に特異的な高次構造中において、ループ中に存在するホットスポットにおいて頻発する。しかし、軸・ループ構造の形成機構や組換え反応の詳細には不明の点が多い。本研究では分裂酵母を用いて、まず軸・ループ構造の構成要素とその染色体結合様式を明らかにする。また、申請者は染色体高次構造の制御への関与が指摘されているヒストンH2A.Z、ヒストンH3リジン4(H3K4)メチル化酵素Set1、Set1と物理的に相互作用する因子Spp1が、減数分裂期組換え開始を促進する証拠を得ているので、これらの組換えにおける役割を明らかにする。今年度の進行状況は以下の通りである。 H2A.Zの機能解析のための遺伝学的スクリーニングに用いる2倍体親株(H2A.Z変異株)が減数分裂進行に異常を示しているが、その原因は依然として不明である。このためスクリーニングには着手できていない。また、前年度までに明らかにしたset1変異とspp1変異との遺伝学的相互作用について、多面的な解析を行なっているが進展は見られていない。一方で、Spp1の変異体複数種の解析を行い、組換えに関与するドメインを同定した。これにより、他生物で得られている知見との共通点と相違点が明らかになったため、より詳細な解析を行得る状況となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年4月に鎌倉女子大に異動し、2022年度に関しては本務校での研究・教育環境の整備に注力し、研究の継続については共同研究先の中央大学と東京大学にて行ったが、研究に費やす時間は大幅に減少したため。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度から鎌倉女子大での自身の研究室において、新たに配属された研究室学生(学部3年生)とともに研究を開始している。特にストーリーの固まりつつあるプロジェクトを優先して手元にあるデータをもとに論文複数報の執筆を急ぐ。また、H2A.Z変異体を用いたスクリーニングを軌道にできるだけ早く乗せるべく、使用株の減数分裂進行異常の原因の同定を引き続き行う。
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Causes of Carryover |
所属先異動と新型コロナウイルス感染症の影響により、予定していた研究計画と学会参加の変更や取りやめなどが生じたため。
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