2020 Fiscal Year Research-status Report
有性生殖を介した抗酸菌進化モデルの実験と集団ゲノミクスによる検証
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18K06357
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
矢野 大和 東北大学, 生命科学研究科, 講師 (20646773)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 抗酸菌 / ゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
Mycobacterium avium subsp. hominissuis (MAH) のニッチ適応に寄与するアレルまたは遺伝子座が組換えによって集団内を移動しているかどうかを、浴室分離株の新規ゲノム解読と生物情報学的解析によって検証することを目指している。現在、M. aviumの完全ゲノム解読株は数例しか報告されていないため、大規模な集団ゲノムシーケンシングを行なっても、集団ゲノム内に検出される遺伝子が染色体上にある遺伝子なのか、プラスミドやICEなどの可動遺伝因子の上に存在している遺伝子なのか判別することは難しい。そこで、M. avium集団が保有している遺伝子が染色体上にあるのかプラスミドなどの可動遺伝因子上にあるのかを明確にできるようにするため、環境株のリファレンスゲノムパネルを作成する必要があった。本年度は、まずロングリードシーケンサーを用いた環境株40株分のゲノム解析のためのDNA抽出を行なった。現在先進ゲノム支援の支援を受けてそのシーケンシングを実施している。また、M. aviumの有性生殖を実験室内で証明するためには、遺伝子を導入しやすいM. avium東アジア系統株を探す必要があった。そのために、東アジア系統に属することがすでに判明している45株のM. avium浴室分離株を対象にTM4ファージの感染実験を実施したが、高効率でプラークを形成する東アジア系統株を見つけることはできなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
M.avium環境株40株分のローングリード解析を先進ゲノム支援の支援を受けて実施中である。また、異系統間のゲノムの組換えを実験室内で再現するために、蛍光タンパク質遺伝子を導入できる環境分離株を探索してきた。外来DNAを受け入れやすいと想定される「ファージ感受性の高い株」を見つけることを目指し、45株以上のM. avium株に対し、TM4ファージの感染実験を実施したが、高効率でプラークを形成する株を見つけることはできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
実験による有性生殖の証明を期間内に達成することが困難である一方で、遺伝子がどのように集団内を移動しているかを情報学的に明らかにすることは可能であることが、予備的なデータ解析の結果わかってきた。環境株のリファンレンスゲノムパネルを作成することで、ニッチ適応に寄与するアレルまたは遺伝子座が染色体の組換えによって集団内を移動しているのか、可動遺伝因子の移動とともに移動しているのかを明確にすることができると考えている。
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Causes of Carryover |
シーケンスデータの発表方法を再考したために論文投稿を行うことができなかったためである。次年度のデータ論文の投稿料に使用する。
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Research Products
(1 results)