2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K06358
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
平川 泰久 筑波大学, 生命環境系, 助教 (40647319)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ピレノイド / 藻類 / 葉緑体 / プロテオーム / 遺伝子導入 |
Outline of Annual Research Achievements |
二酸化炭素濃度の乏しい水圏に生息する藻類は独自の無機炭素濃縮機構をもち、その中心にはルビスコタンパク質が高密度に集積したピレノイドが存在する。しかし、そのピレノイドを形成するメカニズムは明らかにされていない。本研究では、真核藻類のもつピレノイドの構築メカニズムとその進化を明らかにすることを目的に、海産の単細胞藻類であるクロララクニオン藻類を用いて、ピレノイドに含まれる新規タンパク質の探索を行っている。平成30年度は、ピレノイドのプロテオーム解析を行うための基盤構築を行った。クロララクニオン藻の一種、Amorphochlora amoebiformisへの安定的遺伝子導入系をエレクトロポレーション法を用いて確立し、ルビスコタンパク質とGFP(緑色蛍光タンパク質)のキメラタンパク質を発現する細胞株の作成に成功した。これにより、顕微鏡下で観察の難しかった無色透明のピレノイドを、緑色蛍光で安易に観察することができるようになった。次に、遺伝子導入細胞株を用いて、緑色蛍光を指標に、ピレノイドの単離・精製条件の検討を行った。その結果、超音波破砕法とパーコール遠心法を用いて、高純度のピレノイドの単離に成功した。精製ピレノイドより抽出したタンパク質をSDS-PAGEで分離したところ、ルビスコタンパク質以外に、複数の未同定タンパク質が含まれることが予測される結果が得られた。これらの研究成果の一部は、平成30年度に開催された国内外の学会において発表を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
短期間の間に、本研究計画の重要な基盤であり難題であった「安定的遺伝子導入系の開発」と「ピレノイド精製条件の最適化」を行うことができた。次年度以降の研究計画を遂行するうえで、非常に大きな進展であったと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度に検討した単離条件を基に、クロララクニオン藻のピレノイドの大量精製を行う。単離ピレノイドから抽出するタンパク質を用いてプロテオーム解析を行う。質量分析法(LC/MS/MS)による解析結果をゲノム情報などと照らし合わせて、ピレノイド構成タンパク質の同定を行う。同定される各タンパク質に対して、ポリクローナル抗体の作成を行い、ルビスコタンパク質の集積に関与するリンカータンパク質の特定に繋げる。
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Research Products
(7 results)