2018 Fiscal Year Research-status Report
Evolutionary genomics of hot spring frogs, Buergeria japonica
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18K06365
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
井川 武 広島大学, 両生類研究センター, 助教 (00507197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻野 肇 広島大学, 両生類研究センター, 教授 (10273856)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 環境適応 / 温度耐性 / 遺伝子発現 / ゲノム / 両生類 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、天然温泉から湧く熱水に生息できるほど極限環境に適応したリュウキュウカジカガエル(Buergeria japonica)について、高温耐性の原因遺伝子を単離し、適応進化における遺伝的基盤を解明することを目的としている。今年度はリュウキュウカジカの高温耐性責任遺伝子群の同定とゲノムDNA変異の解明のため、(1)高温ショック時及び高温定常状態における幼生の遺伝子発現解析と、(2)ドラフトゲノム解読を行った。(1)については、様々な温度域で飼育したリュウキュウカジカガエルの幼生からRNAを抽出し、RNAseq及び発現量解析を行った。(2)については、リュウキュウカジカガエル及びカジカガエル(B. buergeri)から高分子量のゲノムDNAを抽出し、DNAseqに供してゲノムアセンブルを試みた。それらの実験の結果、発現量解析によって高温下において発現する遺伝子群が同定され、ドラフトゲノム情報からそれらの遺伝子群のゲノム上での遺伝子構造が得られた。特に遺伝子発現に関しては予想された熱ショックタンパク質に加えて、代謝に関わる新規タンパク質が同定された。また高温に長時間暴露した群と一過的な熱処理群とは、発現が変動するタンパク質が異なっていることから、熱耐性に関しては複数の経路によって耐性を獲得していることが考えられた。また、熱ショック応答の関わる遺伝子のアミノ酸配列が、リュウキュウカジカガエルとカジカガエルの間で大きく異なっていることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画を着実に実行し、シーケンスデータに関しては計画通りのデータ量が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
耐熱性に関わると考えられる遺伝子群については、ゲノム編集法が確立されているネッタイツメガエルにおいて機能解析を行う。ゲノム情報については、長鎖DNAを利用したシークエンス法を利用してより高次なゲノム構造の解析を行う。
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Causes of Carryover |
シークエンス受託費用が計画よりも低い価格で実行可能であったため差額が生じた。次年度においても受託費として使用する。
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