2020 Fiscal Year Annual Research Report
Exploring the mechanism for complex petal morphogenesis: integration of the proximate and ultimate factors
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18K06366
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
武田 征士 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (90508053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末次 健司 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (70748839)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | サギソウ / 唇弁 / 鋸歯 / TCP / 結実 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,①鋸歯形成に関わる候補因子としてTCP遺伝子の解析,②屋外での唇弁鋸歯切除による結実調査,③論文発表を進めた.①サギソウ唇弁の鋸歯形成に関わる遺伝子として,TCPファミリー遺伝子に着目した.つぼみと葉のRNA-sequenceの結果から,TCP遺伝子に相同性を示すリード配列を24抽出し,相同性検索と機能類推によってHrTCP2, HrTCP3/4, HrTCP14/15の3遺伝子の候補配列を得た.がく片,側花弁,唇弁,ずい柱,葉でRT-PCRを行ったところ,HrTCP2が唇弁,ずい柱,葉で発現しており,がく片と側花弁では発現が見られなかった.HrTCP14/15も唇弁での発現が確認できたが,非特異な増幅産物も多く見られた.HrTCP3/4については非特異増幅が多く見られた.HrTCP2が側花弁で発現がなく,唇弁で発現していることから,唇弁鋸歯の形態形成に関わることが示唆された.②唇弁の生態的意義を有しているのかを明らかにすることを最終目的に定め,2019年度の自生地3地点に加え,2020年度は自生地2地点での唇弁鋸歯の切除実験を継続した.2019年度は唇弁の操作実験で果実重量と種子の有胚率が唇弁の鋸歯を切除することで低下する傾向がみられた一方で,2020年のみの結果では,結実率,果実重量,種子重量,種子の有胚率のすべてで鋸歯の切除の効果がみられなかった.一方で,2019年と2020年の結果を合わせたものでは,結実率について鋸歯切除による効果はみられなかったが,果実重量,種子重量,有胚率はいずれも鋸歯の切除で有意に低下していた.これらの結果は唇弁のギザギザが一定の生態的機能を有することを示唆する結果である.③これまでの結果をまとめ,近畿地区に自生するサギソウ集団について,唇弁形態の定量とDNAマーカーを用いた系統解析についての論文を発表した.
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Research Products
(2 results)