2022 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular basis of the acquisition of chordate traits: origin and evolution of chordates
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18K06370
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
高橋 弘樹 基礎生物学研究所, 分野横断研究ユニット, 助教 (40283585)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脊索 / ホヤ / ナメクジウオ |
Outline of Annual Research Achievements |
脊索は脊索動物体制における中軸器官であると同時に、脊索動物を特徴付ける最も重要な形質である。したがって、脊索形成の分子メカニズムを明らかにすることは脊索動物の体制構築の解明につながると同時に、脊索動物進化のメカニズムの理解にも直結する。また、脊索を持たない共通祖先の動物がどのように、この新規形質を獲得したかをひも解くことは、 我々ヒトを含めた脊索動物誕生の分子的基盤を明らかにする事につながる。そこで、まず脊索動物門(ナメクジウオ、 ホヤ)の脊索形質の分子基盤を明らかにする。次に脊索形成の分子メカニズムを尾索動物(ホヤ)を用いて解析した。さらに、脊索動物と脊索を持たない近縁の半索動物・棘皮動物(ギボシムシ、ヒトデ)を用いて脊索形成遺伝子ネットワーク進化の解明を目指し、脊索動物の誕生・起源・進化に迫った。 脊索動物の誕生・起源・進化を考える際にその鍵となるのが「脊索」である。脊索は中胚葉性で原腸陥入の初期に陥入を開始し、収斂と伸長などの特徴的な細胞運動を伴い、体軸の中心を前後に走るロット状の構造として形成される。脊索形成にはT-box転写因子であるBrachyuryが重要な役割を果たす。しかし、 Brachyuryの役割は脊索形成に特化したものではなく、 もともと原腸形成に関連した役割を持っていたものが、脊索動物の進化の際に脊索形成に関わったものと考えられる。 これまで、脊索形成の分子基盤を明らかにするために、ホヤとナメクジウオを用いた解析を展開してきた。ナメクジウオ成体の脊索細胞を高純度に顕微鏡下で単離し遺伝子解析を進めてきた。また、ホヤの脊索形成に重要な働きをするBrachyury遺伝子のターゲット遺伝子群を明らかにしてきた。さらに、脊索形成の分子メカニズムを解明する上で非常に重要となる、脊索の細胞極性・細胞運動・細胞間接着に関わる分子機能を明らかにしてきた。
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