2020 Fiscal Year Research-status Report
RADseq比較ゲノム解析による照葉樹林の生物間ネットワークの変遷過程の解明
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18K06381
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
青木 京子 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 寄附講座助教 (70378537)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 生物地理 / 遺伝的多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本列島に生育する照葉樹林を構成する生物種について,遺伝的分化の地理的パターンを解析することで歴史的変遷過程の解明を目指している。今年度は,日本の照葉樹林の優占樹種のうち,カシ類の葉サンプルを用いて遺伝子実験を行った。カシ類は,東アジアに広く分布する照葉樹林の主要樹種であり,これまで研究してきたシイ類よりも内陸部の,さらに標高の高い山地にまで分布する。カシ林は,シイ林とは現在の分布や生態特性が異なるため,両樹林は分布変遷も異なると考えられるからである。カシ類のうち,まとまった森林を形成する樹種であるイチイガシ・ウラジロガシ・アカガシ,およびアラカシやシラカシなどの採集済みの冷凍葉サンプルについて遺伝子解析を行った。1地点1種につき約6個体の葉サンプルを採集できている地点を優先的に解析し,Restriction Site Associated DNA Sequence法により,それぞれの種内でSNPsを検出し,種内多型の地理的分布パターンを解析中である。それらの種群間で遺伝構造や遺伝的多様性を比較することによって,カシ林の歴史的変遷を追跡する計画である。その後,シイ林とカシ林で得られたデータを比較解析することで,照葉樹林生態系の歴史的成立過程を解明する予定である。また,カシ類に潜葉する植食性昆虫であるノミゾウムシ類やツヤコガ類についてDNA解析を行い,寄主植物の違いによる遺伝的分化の有無や種内の遺伝的多様性や種内多型の地理的分布パターンを調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝子解析は順調にすすんでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
サンプルの遺伝子解析を進める。
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Causes of Carryover |
遺伝子解析に時間がかかり年度内に支出が間に合わなくなったため,次年度の遺伝子解析に用いる。
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