2019 Fiscal Year Research-status Report
群集形成の緯度変異性:「バイオマス補償」がもたらす生物多様性
Project/Area Number |
18K06384
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
新垣 誠司 九州大学, 理学研究院, 助教 (10452963)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 生物多様性 / 緯度勾配 / タイドプール / 魚類 / 潮間帯 |
Outline of Annual Research Achievements |
高い生物多様性をもたらす要因は何か?今も議論が続く課題である。生物群集の基礎となる資源・エネルギー量の増加を仮定する説が多い中、近年、資源・エネルギー量が一定でも体サイズが小型化することで種数や個体数が増加する現象:「バイオマス補償」を見出した。この現象は、多様性の創出プロセスを解く新たな鍵となりうる。 本研究は、まず、岩礁性タイドプール魚類群集を対象に北日本から台湾におよぶ12地域36地点で同一プロトコルによる野外調査をおこない、南日本でみられた「バイオマス補償」がより広域的に見られる現象であるかを検証する。次に、群集特性と環境・空間特性に見られる緯度変異性とそれらの相互関係を精査し、バイオマス補償の成立する条件を明らかにする。そして、群集形成と多様化のメカニズムに関する新たな理論の構築を将来的な到達目標とする。 以上の目的に対して、2019年度は国内4地域(11地点)、国外1地域(3地点)ののべ14地点約1200個のタイドプールで野外定量調査を実施し、解析に必要な環境データと魚類標本サンプルを得た。群集および個体群動態の把握と緯度間比較を目的とし、沖縄本島と天草下島で80-90個の定点タイドプールを設け、3ヶ月に一度(4月、7月、9-10月、12月、3月)の定期調査を実施した。天草では全て計画通りに実施できたが、3月の沖縄調査は、コロナウイルス感染拡大防止を考慮して中止した。また、2020年度に調査予定の地域の事前調査についても同じ理由により中止した。 そのほか、5月に台湾清華大学を訪問し、研究発表および共同研究に関する相談をおこなった。12月に北アイルランドのベルファストで開催されたイギリス生態学会に参加し、研究成果の発表をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は沖縄本島、石垣島、北海道、天草、台湾中部の5地域14地点で野外調査を実施し、解析に必要なデータとサンプルを収集、研究室にて採集したサンプルの種同定と体サイズ計測、データの整理をおこなった。ほか、沖縄本島と天草で3ヶ月に1回の定期調査を実施した。ただし、年度の後半はコロナウイルス感染拡大の影響により、沖縄定期調査と次年度の事前調査を中止した。また、本課題をもとにした新規の共同研究の立ち上げができたほか、これまでの研究成果の一部を国際学会で発表できた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、広域データの収集および定期野外調査を実施する。2020年度は野外調査の最終年度で、房総半島、紀伊半島、大隈諸島、沖縄本島での広域データ収集を予定しているが、コロナウイルスの状況によっては調査ができない可能性もある。可能な範囲で調査を実施する予定だが、調査の実施が困難な場所もあると予想されるので、その場合は、2021年度に調査を延期して実施してまとめに入る予定。そのため、研究の遅れが予想される。
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Causes of Carryover |
年度末(2-3月)に予定していた沖縄本島での定期調査、および2020年度に実施予定の紀伊半島調査の予備調査について、コロナウイルスの感染拡大予防の観点から中止にしたため。社会状況にあわせて2020年度以降に実施予定。
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