2020 Fiscal Year Research-status Report
ダニ類最後のエニグマ(謎):ニセササラダニ類の進化的変遷
Project/Area Number |
18K06392
|
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
島野 智之 法政大学, 自然科学センター, 教授 (70355337)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蛭田 眞平 独立行政法人国立科学博物館, 分子生物多様性研究資料センター, 特定非常勤研究員 (80624642)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 系統分類学 / ダニ学 / 胸板ダニ上目 / 汎ケダニ目 / 汎ササラダニ目 / 動物分類学 |
Outline of Annual Research Achievements |
クシゲマメダニ亜目と,ニセササラダニ亜目,ケダニ亜目の一部および,ササラダニ亜目の下等な分類群について,新たに形態及び遺伝子解析用にサンプリングを行いながら,形態情報を得た後,ショットガンシークエンシングにより核およびミトコンドリア上の複数の遺伝子座の解析をほぼ終了した. 研究の過程で得られた汎ケダニ目,及び,汎ササラダニ目の未記載種については,同時に得られている遺伝情報とともに,新種として命名し公表した.ササラダニ亜目では複数の科で新種記載(Bayartogtogh et al., 2020a, 2020b, 2020cなど)とともに,一部は生態学的考察や分子遺伝情報も合わせて報告した(Pfingstl, 2020a, 2020b).ケダニ亜目のミズダニ科では,ミトコンドリアゲノムの完全長を報告した(Hiruta et al., 2020).また,ミズダニ科では遺伝子解析を行った未記載種について新種として記載を行った(Goldschmidt et al., 2020).コナダニ団についても分布情報を報告した(Waki and Shimano, 2020).また,外群としてのマダニ目についても得られた分布情報として報告した(Yamauchi et al., 2020).特にハマベダニ上科のササラダニ類については,次の研究の大きなテーマとなるような,進化戦略の解明への新たな知見もえられた(Pfingstl, 2020a, 2020b).また,ケダニ亜目のミズダニ科の一部では,これまで遺伝情報の得られていない分類群であり,ミトコンドリアゲノム内の遺伝子配列も特殊であることから今後のDNAバーコードなどへの応用が期待できる(Hiruta et al., 2020).
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
採集と同定の難しいクシゲマメダニ亜目,ニセササラダニ亜目,ケダニ亜目の一部,および,採集の難しいササラダニ亜目の下等な分類群については,難関であったが,採集することができ,かつ,形態情報から同定をおこなった.ショットガンシークエンシングにより核および,ミトコンドリア上の複数の遺伝子座のシークエンス結果は全体的にはそろってきた.系統解析として,一部のOTUについては,ミトコンドリアの全塩基配列の比較を行っているが,先行して,いくつかの種についてはミトコンドリアの全塩基配列を論文報告とした.また,本研究を進めていく上で得られた未記載種などについても,分類学的に整理し複数の新種記載などの報告を行った.
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度として,高次分類体系についての本研究としての結論を検討する.系統樹の基になるデータはすでに得られており,タクソン・サンプリングの観点から.若干のクシゲマメダニ亜目,ケダニ亜目の一部,ニセササラダニ亜目,そして採集の難しいササラダニ亜目の下等な分類群について,分類群の標本数を増やし,さらに系統解析の精度を上げるとともに,分岐年代推定をおこなう. ビックデータの解析として,いずれのクレードが進化的に多様化しているか検討を引き続き行う.クレード依存の系統的なシグナルを機能特性,生態ハビタットなどの情報を系統解析OUTのそれぞれにラベルを与え,分子系統との対応やズレを検討する. 以上のことにより,ニセササラダニ類の分類学的位置を検証するとともに,胸板ダニ上目全体の高次体系について総合的に議論し,必要に応じて新しい体系を提案することとする.
|
Causes of Carryover |
コロナ禍で学会発表などの旅費が減少したため.しかしながら,学会発表は減少したものの,この分の論文発表などを増加させることができた.また,旅費が節約できた分,次年度の遺伝子解析にこれを使用し,解析の精度をあげて,最終年度の成果発表に望みたい.
|
-
-
[Journal Article] Systematics, distribution and morphology of the newt parasitic water mites of the subgenus Lurchibates Goldschmidt & Fu, 2011 (Acari, Hydrachnidia, Hygrobatidae, Hygrobates Koch, 1837), including the description of four new species and a key to all so far known species.2021
Author(s)
Goldschimid, T., Nishikawa, K., Hiruta, S.F., Pfingstl, T., Shimano, S. and Jiang, J-P.
-
Journal Title
Zoootaxa
Volume: -
Pages: -
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-