2023 Fiscal Year Annual Research Report
The last enigma of the mites: the evolutionary trail of the mites.
Project/Area Number |
18K06392
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
島野 智之 法政大学, 自然科学センター, 教授 (70355337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蛭田 眞平 独立行政法人国立科学博物館, 分子生物多様性研究資料センター, 特定非常勤研究員 (80624642)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 系統分類学 / ダニ学 / 汎ケダニ目 / 汎ササラダニ目 / 胸板ダニ上目 / ケダニ類 / ニセササラダニ類 / ササラダニ類 |
Outline of Annual Research Achievements |
胸板ダニ類において,核遺伝子とミトコンドリア遺伝子を用いた系統解析を行なった.ショットガンシーケンスでは,最小5ngの抽出DNAよりほぼすべての上述のマーカーを含む塩基配列決定が可能であった.個体が小さいためDNA およびRNA量の確保が難しい分類群であるダニ類において,エタノール固定された1個体からでも系統推定に十分な配列を確保する方法を運用した.また,40年前に採集されエタノール中に保存されていた標本からのショットガンシーケンスにも成功した. 過去に遺伝情報の少ないクシゲマメダニ亜目の遺伝情報に基づいて胸板ダニ上目の系統樹を作成した.クシゲマメダニ亜目とニセササラダニ亜目は本来,失気門団というひとつの分類群であったが,形態情報によって2つの亜目とすることが提案された.得られた系統樹ではクシゲマメダニ亜目は汎ケダニ目内でクレードを構成し,ニセササラダニ亜目は汎ササラダニ亜目内でクレードを構成した.クシゲマメダニ亜目とニセササラダニ亜目という体系は核遺伝子からは支持された. 胸板ダニ類のクシゲマメダニ亜目,ニセササラダニ亜目と,ササラダニ亜目の一部の分類群について,ミトコンドリア全塩基の配列決定を終えアノテーションの付与を行うとともに系統樹による解析を行なった.過去の他のササラダニ亜目の報告と同様に,一部のtRNAは発見できなかった.下等ササラダニ類に共通したミトコンドリア遺伝子の,左右相称動物でも稀にみられる異常形態が見られた.また,一部の分類群の分岐年代の推定が終了し,例えばハナレササラダニ団は他のササラダニとは約3億年前に分岐したと推定した. 以上のことにより,本研究によって確認された胸板ダニ上目の高次体系をふまえ,ダニ類全体について総合的に議論した新しいダニ類の体系を提案した.
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