2018 Fiscal Year Research-status Report
日本海要素植物の進化史:ゲノムワイド多型を用いた比較分子系統地理によるアプローチ
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18K06394
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
岩崎 貴也 神奈川大学, 理学部, 助教 (10636179)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 地域固有種 / 日本海要素 / 集団遺伝 / 系統地理 / 種分化 / 局所適応 / 日本列島 / 進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、エゾツリバナ-ツリバナ、オオバクロモジ-クロモジ、マルバマンサク-マンサク、スミレサイシン-ナガバノスミレサイシンなどの7種群について、日本全国21集団からサンプルを集めることを第1の目的としていた。更に、サンプルが集まってきた種についてはDNA抽出も行い、MIG-seq解析のための準備を進めることが第2の目的であった。 まず、神奈川県と静岡県、長野県、新潟県佐渡島などで調査を行い、上記の種についてサンプルを採集した。更に東北地方について、山形県鶴岡市、秋田県にかほ市、青森県十和田市、岩手県花巻市などで調査を行い、同様にサンプルを採集した。各地域の研究協力者とも連携し、特にスミレサイシン-ナガバノスミレサイシンについては全国でほぼサンプルを集めることができた。採集したサンプルについてはDNA抽出を順次進めている。また、準備段階でサンプルが揃っており、予備解析の結果まで出ていたミスミソウについては、追加サンプルのDNA抽出を完了させ、以降の解析を行うための準備を進めることができた。 更に、サンプリングがうまくいかない種があった場合に備え、博物館や大学の植物標本庫に収蔵されている押し葉標本の利用について検討を行った。複数の標本庫の標本から葉片を採取、DNAを抽出してMIG-seq解析を行った。その結果、1980年代以降に作製された標本の多くでは十分なデータが得られること、薬品燻蒸を行っていない標本庫であれば更に古い時代に作製された標本でも十分なデータが得られる可能性が高いことなどが明らかになった。これらの知見を生かすことで、本研究を更にうまく進展させることができると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スケジュールの都合で、2018年度のみで全国全ての場所を回ることはできなかったが、少なくとも研究上で特に重要な箇所はサンプリングを行うことができた。また、研究協力者の協力で一部の種については全国のサンプルを集めることができたこと、DNA抽出を予定していた数よりも多く進めることができたことなどから、研究計画は問題なく進行できている。加えて、標本DNAの利用についても検討を行ったことで、研究プロジェクトを更に効率良く進めることができるようになった。従って、今後の計画で少し修正は必要なものの、研究全体の中の分量としてはおおむね予定通りに進めることができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年9月頃までに残りの調査予定地点全てについてサンプリングを行う。当初の計画よりも2019年度に回る地点数が増えたが、既に予定を調整済みであり、問題なく調査できる。また、サンプリングと同時に、研究補助員を雇用してDNA抽出を進めていく。10月頃に第1回のMIG-seq解析を行い、得られたデータを用いて系統地理・集団遺伝解析を行う。その結果に基づき、解析に用いるDNAサンプル数などの調整も行う。2019年度中に更に追加のMIG-seq解析を行い、少なくとも4種以上について結果を得る予定である。結果が揃い次第、各種についての論文化も進める。 2020年度については、一部の種についての補足的なサンプリングのみとし、それまでに採集したサンプルの解析・論文化を中心に行う。
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Causes of Carryover |
2018年度に予定調査箇所全てを回ることができなかったため、旅費に相当する分を2019年度予算に繰り越した。2019年度にこの旅費を使用して調査を行う予定である。
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[Presentation] Phylogeographic studies of two wide-distributed Cardamine species (C. impatiens and C. leucantha) based on genome-wide SNPs2018
Author(s)
Takaya Iwasaki, Kiwako S. Araki, Takashi Shiga, Karol Marhold, Atsushi J. Nagano, Yoshihiro Tsunamoto, Yoshihisa Suyama, Valentin V. Yakubov, Renat Sabirov, Jae-Hong Pak, Pan Li, Rie Shimizu-Inatsugu, Kentaro K. Shimizu, Motomi Ito, Hiroshi Kudoh
Organizer
The 2nd International Academic Conference on the Formation Mechanism of Plant Diversity and Conservation of Endangered Plants in East Asia
Int'l Joint Research